■人に焦点を当てること:業務プロセス「誰が・何を・どう行うか」

     

1 基礎は「誰が・何を・どう行うか」

業務マニュアル作成講座を27日に行ってきました。おおぜいの方のご参加に感謝しています。今回はマニュアルの基本からお話をすることにしました。事前のアンケートを見ると、基本から積み上げていく形式がよいのではないかという感触があったためです。

業務を行うのは、人間ですから「誰が・何を・どう行うか」という点が一番の基本になります。業務に焦点を当てるということは、実のところ、まず初めに「誰が」という人を問うことであり、その次に、その人が何をするのかが問題となるということです。

つまりは「誰」が行うかが決まり、次に「何」を行うかが決まるという前提があって、その次の「どのようにその業務を行うか」が問われるようになります。当然ながら、「誰」の項目が自分に該当しなければ、自分が実践する業務ではないということです。

     

2 「誰が」を上位概念にすること

業務フローを作成するときにも、この原則が当てはまります。誰が行うかが明確になるように作らなくてはいけません。業務の流れを明らかにするときに、誰が行うかが問題です。どの部門、どの担当の業務なのかが基準になって、業務が区分されていきます。

業務フローを作るということは、業務プロセスの流れを図にするということです。まずは、どの部門の、どの担当者の業務なのかを明確にすることが前提になります。「誰」の領域が明確になっていなくては、業務の流れを書いても意味がありません。

しかし実際に業務フローを作成していただくと、「何を」に焦点を当てるケースが多いのです。「何を」という業務項目を基礎にして、業務の流れが作られることになります。この場合、「誰が」は、「何を」の下位概念のように扱われるのです。

     

3 (1)誰が、(2)何を、(3)どう行うか…の順

業務の流れをシンプルできれいな図にしようとする場合、この部門のこの担当者が、こういうプロセスで業務をしていくのだ…ということが見えなくてはいけません。「誰」の領域が括られていないと、業務プロセスの適切さがチェックしにくくなります。

業務フローを作る目的の一つは、業務の流れの適切さをチェックするためです。業務の流れを見て、このルートで進めていくことが合理的なのか、プロセスの区切り方が適切なのかを確認します。業務のプロセス=「ビジネス・プロセス」の再検討ということです。

いまや機械化やシステム化によって、以前より業務プロセスがシンプル化できるようになっています。業務プロセスがシンプル化すると、先に業務があって、それを誰が行うのかという考えになるのでしょう。人に焦点を当てて業務を見る視点が弱くなるのです。

講義で簡単な業務フローを作る演習をすると、以前は、何人かの方がさすがだと思わせるスピードでシンプルなフローを作りました。「誰」に焦点を当てることが、その基礎になっています。「(1)誰が、(2)何を、(3)どう行うか」の順番が大切だということです。