■『0秒経営』に学ぶマイクロ・ミニからの出発:星崎尚彦のメガネスーパー改革

    

1 小さなことの積み重ね

業務を見直すときに、大きな範囲を見ると、かえって足が地につかない感じになることがあります。小さくても確実に成果を上げていく方が、その先の展開がよいのが普通です。経営が大きくよい方に動く場合、小さなことがきっかけになっているケースがあります。

『0秒経営』で星崎尚彦は、赤字体質に染まっていたメガネスーパーを黒字化しました。8年連続赤字からのV字回復です。その過程について語っています。原動力の一つとして、現場で「マイクロ・ミニ」なことばかりを指摘していたことを上げていました。

これが[日常業務の「なぜ」の追求]です。このことが、その場で判断できるようになるための訓練にもなりました。失敗したら、どうしたらうまくいくかを考えて、再チャレンジをする。そうする中に結果が出て来ました。小さなことの積み重ねということです。

     

2 成功事例を横展開

社長自らが、どんどん具体的なことを指摘して改善していくしかないので、[だから私は、現場に足を向けた]ということです。やる気になれと言っても、なれません。やってと言っても、黙ります。さらに、やれと命じても動けなかったのです。

▼現場に自分の考えを伝え、「どうしたら黒字に出来るか」彼らと一緒に考え、行動した。現場を動かす前に、まず自分の頭と体を動かした。そのうちに彼らも「こんなことをしてみたらどうだろう」とアイデアを出すようになった。すかさずそれを試す。失敗する。

失敗するのは当たり前ですから、[「どうしたらうまくいくだろうか」と軌道修正して、またチャレンジする。このサイクルを毎日、超高速で回した。やがて結果が出始めた]。いきなり全店ではできませんから、社長の直轄店で成果を上げていくことになります。

この成果を、どう展開していくのか。王道を行くなら、どういう手法をとるか? 想像がつくことでしょう。[有志を連れて全国の店舗を回る]のです。[「成功事例」をコピペ(コピー&ペースト、そっくりそのまま横展開)する]ということになります。

    

3 成功体験を展開するサイクル

小さなことの場合、成果が見えやすくて結果が出るのです。だから[「自分たちはやれる、売れる!」という経験が積み重なっていく]ことになります。社長が現場に行って、社員と一緒に始めたら、効果的だと想像できるでしょう。実際にそれをやりました。

[私が現場に行き、接客から内装、コスト管理に至るまで、スタッフとともに見直した]のです。こうした率先して会社を改革する社長がいる場合、成功するのが当然だという気さえしてきます。しかしそんな社長がいきなりやってきません。それが問題です。

工夫すれば、業務マニュアルの作成によって類似の効果が期待できます。権限者が担当を選定し、その人が指定された領域の中で一番の問題点を抽出して細かいところから変え始めることです。小さな成果でも、眼に見えたものが体感できたら、やる気になります。

ビジネスでの成功事例を見ると、小さな効果的な領域を見出して、どうしたらいいのかわからないままに、小さなことを改善して成果を実感して、それを展開させて…というサイクルがあることに気づくでしょう。業務マニュアルにもそうした手法が必要になります。

         

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