■仮説構築モデル:「獲得→発見→構築」のプロセス

     

1 4段階の学習サイクル

フェルナンデス+ゴールドバーグ『脳を最適化する』の中に、ジェームズ・ズール博士という人にインタビューをしてところがあります。ズール博士が、学習サイクルには4つの段階があると語っているところが興味深いと思いました。以下のようなものです。

第1ステージ:具体的な経験をする
第2ステージ:その経験を検証して自分がすでに持っている情報とのつながりを見出す
第3ステージ:仮説を立てる
第4ステージ:その仮説を能動的にテストする  (p.56)

前提となるのが「経験」です。ここでいう「経験」とは、頭の中で純粋に考えるだけではなく、自分で何かを行い、そのときの反応を受け取るということでしょう。その具体的な経験があるならば、検証が可能になり、そこから思考が発展していくということです。

     

2 経験を検証して既知情報を掘り起こす

この4段階で注目すべきなのは、「経験を検証して自分がすでに持っている情報とのつながりを見出す」という第2ステージでしょう。具体的な経験を検証することが、既知の情報との関連を見出す契機になっているのです。新たな行動が、振り返りを促進します。

そういえば…と思って、振り返ってみると、何か関連したものが思い出されることは、確かにあるでしょう。それを意識的に行うことによって、学習する仕組みができるのです。新たな働きかけにより、すでに蓄えている既知情報を掘り起こす作用が学習と言えます。

こうした情報の掘り起こし作用が、新たな関連性を見出させることになり、仮説を生み出すのです。ここまでが一区切りといってよいでしょう。仮説ができたら、実行して検証するのみです。第4ステージ「その仮説を能動的にテストする」は言葉足らずでした。

     

3 仮説構築モデル

仮説の検証については、仮説を作り、実行し、検証するという「仮説→実行→検証」というプロセスモデルがあります。しかし仮説の立て方のプロセスモデルは明確になっていません。何となくのモデル化で、宙ぶらりんでいた時に、この4段階を見たのでした。

ズール博士は学習サイクルとして4段階を考えたようですが、前半を切り離せば、仮説構築のプロセスになります。「具体的な経験をする→経験を検証して既知の情報との関連を見出す→仮説を立てる」というものです。もう少し洗練させればモデルになります。

具体的な経験によって得た情報が、既知の情報との関連を見出させるのですから、「新規情報を獲得」→「既知情報との関連を発見」→「仮説を構築」となりそうです。仮説を構築したら、「仮説を実行」→「仮説を測定」→「仮説を比較」するプロセスになります。

「実行→測定→比較」は目標管理の原則です。仮説構築の場合、「情報獲得→関連発見→仮説構築」であり、シンプル化するなら「獲得→発見→構築」となるでしょう。「情報獲得に何が有効で、関連発見に何が有効か」という点まで考え得るモデルになっています。