■文章作成講座を終えて:オンライン講座の難しさ

    

1 オンライン講座での工夫

先週末に文章作成講座を行ってきました。今回はオンラインでの講座です。年末にも関わらず、通常よりも多めの方にご参加いただき感謝しています。オンライン受講のみの講座はひさしぶりでした。もう少し工夫すべき点があったなあというのが正直な感想です。

会場に参加者がいる講座で演習をする場合ならば、途中で会場での様子を見に行けます。何人かの様子を見れば、ある程度、どんな感じかが見えます。この点、オンラインで解答を確認しようとすると、書いたものを送っていただかなくてはなりません。

今回は時間を確保するために、お送りいただく代わりに、読み上げていただくことにしました。このこと自体、悪くなかったのです。しかし事前にある程度、ご要望を聞いていたにもかかわらず、想定していた以上に、個人差があることに気がつきました。

      

2 なぜそうなるのかの理解

日本語の能力や文書作成のレベルに、違いがあるのは当然です。関心のありかにも違いがあるでしょう。したがって標準的な事例を使って、この場合にはこの方が適切だという話になります。このとき、なぜそうなるのかという理由が必要になるでしょう。

今回、それぞれのケースの類型を示し、適切だと思うものを提示して、その根拠を説明するというスタイルをとりました。しかしこれだけでは完全とはいえません。どれだけ理解され、納得されたかということが問題になります。この点、もっと工夫が必要でした。

会場で話をするときなら、受講者の顔が見えます。それで、どれだけ理解されたのかがわかります。オンラインの場合、受講中の顔つきが見えません。理解レベルを判定するための何らかの仕組みが必要です。質問はありますかとの問いかけだけでは不十分でした。

     

3 状況把握のための事前アンケート

文章の場合、なぜこのほうが適切なのか、これがわかるかわからないかが実力に直結します。「なぜならば」の部分の理解が大切です。そんなことは当然のことですから、意識していたはずでした。しかし確認の仕組みがなくて、何となくの把握になった気がします。

具体的な事例を見て、それがなぜダメなのか、どうすればよいのか…を理解するためには、同類のドリルを繰り返しやってみることが必要です。簡単なものから、少し高度なものへと積み重ねていけば効果はありますし、その出来不出来で理解度も確認できます。

ただし時間が問題です。ドリルを増やすためには、情報量を減らさなくてはなりません。必要十分に重なるように内容を絞り込むことが必要です。要望が多様になる講座では、もう少し詳細な事前アンケートを実施して、状況にあわせる必要があったかもしれません。

オンラインの場合、あまり細かい質問がしにくい、あるいはある種の遠慮があるようにも感じました。自分の質問のために、必要以上に時間が使われるのはよくないということでしょうか。当日の様子を見てということが、思ったよりも難しいと感じました。