■業務マニュアルの作成を指示された若手リーダーたちの困惑

     

1 業務が書けないのは困ったこと

上場を控えた会社の人達が、業務マニュアルの整備を始めています。先輩に業務マニュアルを作った人などいません。まだ若手中心の会社ですから、若手リーダーがマニュアル作成の中心になっています。当然のことながら、簡単に作成できるはずないでしょう。

各人が勝手に作成しようとして、強引に業務マニュアルを作ったものの、作成者の解説なしには意味不明だ…というものもあるようです。たまたま知り合いが、どうしたらよいのか、わからないと困り果てていました。業務が書けないと、困ったことになります。

自分達の業務を自分で書いてみると、自分達の仕事、業務の仕組みが明確になってくるものです。多くの人が、書いてみてやっと頭が整理できたと言います。業務を実践できても、それを書いてみない限り、全体の仕組みが明確にならなかったということです。

      

2 指導なしで作成せよとの指示

苦労してでも、とにかく書いてみることは悪いはずありません。皆さん、苦労して業務マニュアルを作りながら、そのうち、きちんとしたものを作る人が出てくると、期待している気配でした。成功事例を参考にして、徐々に整備していこうということでしょう。

しかし若手のリーダーたちは期限も設けられ、お手本もなくて、お手上げ状況に陥っています。知り合いから、参考になるマニュアル作成の本がないと言われて、そういえば私も参考にした本がなかったと思い返しました。この分野にはいい本が少ないようです。

ひとまず、現在の仕事の様子をそのまま記録してみることから始めるしかありません。知人には、そう伝えました。それがなくては、素材なしに料理するようなものですから、その先に進むのが難しくなります。しかし、ずいぶん無謀な注文をするものです。

     

3 マニュアルを作成した経験のない人が作成

社内のスタッフではうまくいかない場合、コンサルティング・ファームに作成のサポートを依頼するといった話が、かつては出てきていました。しかし小規模の、これから上場しようという会社には負担が大きすぎるでしょう。最近はこの種の話を聞きません。

おそらくコンサルティング・ファーム側も、小さな仕事にきめ細かく丁寧にというのは負担があるだろうと思います。こうしたことから作成者が手っ取り早いのは、マニュアル作成講座のはずですが、しかし現時点で、参加者が増える傾向はみられていません。

少し前に、教え子からも連絡が来ていました。ここでも、若手に業務マニュアルを作るようにとの指示が出ていました。いいマニュアルを作った人が、昇進するのかもしれません。自由競争、実力主義で進んで行くという様子でした。なかなか大変そうです。

業務マニュアル作成講座を受講される人の場合も、マニュアル作成の経験がほとんどない若い人たちが多数派になっています。指導を受けた人がいない状況ですから、講義内容も変わっています。業務マニュアルがどう作られていくのか、注目しているところです。