■リーダーに必要なこと:講義をする人との雑談から

       

1 リーダー向け講座と若手向け講座

同じテーマの講義でも、リーダー向けと若手の人向けでは、講義内容が変わってきます。以下は、すでに講義をしている人との雑談で語ったものです。特定の講義内容についてのお話も含まれていましたが、それを除いても、そのまま通じるのではないでしょうか。

リーダー向けと若手向けでは、基礎部分の確認の仕方が違います。わかっていることを前提にして、抜け落ちていたらまずいという発想でチェックしていくのがリーダー向けです。若手の場合、どの程度の理解なのかを確認して、それを基に説明していきます。

ポイントを理解するために、それに関連した事例をあげて説明していくこと、これは共通のことです。しかし理解した後が違います。自分で考えるのを前提にするのがリーダー向けの講義です。これが出来る人がリーダーでしょう。しかし簡単ではありません。

      

2 お手本が必要な人と自分で考える人

リーダーに限らず、自分で問題を考えるのは共通した原則です。しかし姿勢に違いが出てきます。リーダーは自分で考えるのを優先しますし、若手でもリーダーになっていく人は同じです。ところが、お手本が欲しいという人がかなりいます。これが問題です。

本来、問題点が把握できたなら、自分で考えてみるのが王道と言ってよいでしょう。それが理解を促進させます。ところがお手本がないと、できないという人がいるのです。困ったことに、リーダーの地位にある人の中に、お手本が欲しいという人が出てきています。

手早く何かを身につけるのにお手本は便利です。若手向けの場合、それも必要でしょう。しかし各人がそのまま使える万能のお手本など、もはやありません。お手本は自分で、見つけてくるからこそ役立ちます。それには一度自分で考えてみないといけません。

      

3 リーダー向け講義でのポイント

かつてのリーダーに比べて、最近のリーダーは若くなってきました。同じ部門でずっと働いています…という人が減りました。そして若手という言い方が微妙になっています。部署が変われば、ベテランでも若手です。労働市場の流動化が反映しているのでしょう。

いままでのように、長く同じ仕事をしているうちに、自然に身につくという方式が取れません。快適な仕組みを作って、即戦力になるようにする必要があります。仕組み作りで遅れている日本の組織は苦労しそうですが、そのあとにチャンスありと言えるでしょう。

シンプルで快適な仕組みを作るためには、一定のルールの中で、自分で考えることが必要になっています。どう対処すべきかを決めて、シミュレーションをすることが必要です。このとき、ある一定のモデルは示されますが、実際に決めるのは当事者になります。

典型事例ならば、お手本となるケースも見つかるでしょう。リーダーは仕組みを作る側の人、あるいはお手本を見つけてきて提示する人です。そのためリーダー向けの講義では、仕組みを作り、お手本を見出すための内容にポイントが置かれることになります。