■システム構築で成功しているリーダー:顧客視点を取り入れること
1 システム側と顧客の思惑
以前、システムを構築する方々向けの講義を聴かせていただいたことがあります。解説を聞いて、ある条件下でシステムの構想を立てる形式の講義です。技術を習得するために、工夫された講義でした。しかし発注側の視点に立つと、驚くべき内容かもしれません。
システムの構想を立てるときに、顧客の視点で考える必要があります。本来、顧客の意向は顧客側が考えてシステム側に希望を出すというのが原則ですが、実際には、それができません。その結果、顧客側は出来上がったシステムに満足できないことが多々あります。
システムを構築する側は、顧客の希望を聞いて、その条件に適うようにシステムを作ったのです。せっかく作ったものに対して、あれこれ不満を出されても、それなら最初から言ってくれとなるでしょう。こうして顧客側とシステム側の思惑が対立するのです。
2 特定のリーダーに殺到する仕事
現実の問題として、顧客から評価されるシステム会社のリーダーと、そうならないリーダーが生まれてきます。顧客から評価されるリーダーの場合、成果が圧倒的です。よほど気をつけて仕事を選別しないと、こなせない位の仕事が殺到することになります。
こうした現実が、システム側の考え方に微妙な影響を与えることになるはずです。顧客の言う通りにシステムを作ったという主張が通ったとしても、顧客が満足しなければ成功とは言えません。顧客側も別の会社を選んだのに、また同じように失敗するのです。
こうした経験をした人たちが少なからずいますから、あそこはわかっていると言われるシステム会社があれば、それは飛びつくでしょう。殺到の仕方を見ると、顧客の視点を考えてシステムをつくる人が、思いのほか少ないのではないかと心配になってきます。
3 システムの「勝利の方程式」
成功している人たちに話を聞いてみると、どうやら「勝利の方程式」があるようです。ひと言で言えば、業務がわかっている人が成功しているということになります。自分の専門領域を持っている人だということです。こういう人なら顧客の意向がわかります。
もう少し詰めてみると、ほとんどの顧客は、システムのことなど理解できないという現実を知っているのです。システムの受注側が業務を知っていると、相手の必要とするものが見えてきます。システム側が顧客の要望をくみ取って、システム設計をしているのです。
本来、顧客がやるべきことであっても、現実問題として明確な形でリクエストができません。聞き取ろうとしても、顧客自身がわからないのですから、専門家のフォローが必要です。相手の状況を理解して、適切な提案ができるリーダーが飛び抜けることになります。
システム構築のトップリーダーになるには、顧客の視点を入れた問題解決型の思考が必要にでしょう。同時に、こうしたリーダーを顧客側が正当に評価できるかどうかが、問題になります。仕事が殺到しているシステム会社も、いずれ妥当な報酬を要求するはずです。