■英語の配置についてのネイティブの解説:『ネイティブスピーカーの英文法絶対基礎力』
1 英語は並べる言葉
先日、松井力也の『日本人のための英語学習法』で説明されていた、英語の文における「同格的な並置」についてご紹介しました。私にはよくわからない点があったので、保留にしてあります。そう書いた後で、やや違った解説があったのを思い出しました。
大西泰斗とポール・マクベイの共著『ネイティブスピーカーの英文法絶対基礎力』の解説です。英語を受け入れる態勢をとるためには、[たった1つの事実を受け入れるだけで事足ります。それは、 英語は並べる言葉 だということ](p.3)ということになります。
[要素を上手に並べながら文を形作る]のが英語だということです(p.3)。[英語は、配置の言葉]ということになります(p.4)。そのため[適切な位置に表現のかたまりを配置する、そのコツを身につければいい](p.6)ということになるのです。
2 ネイティブは述語のはじまりを「探す」
英語の[文の中心は何といっても主語]、[文は主語とその説明(述語)から成り立っている](p.7)。このとき[英語では、主語は述語が横に並んでみてはじめて主語であることが了解されます。つまりネイティブは述語がはじまるところを「探す」のです](p.8)。
以上のように「主語+述語(述部)」の並びの構造で考える方が標準的でしょう。ここでいう述語はS以外のものを示すようです。5文型で言えば、「S│V」「S│V C」「S│V O」「S│V O O」「S│V O C」となります。
さらに[be動詞が「=」に見えるのは、「=」という積極的な意味があるからではありません。「=」の意味は、文の形それ自体から出てくるのです](p.12)と説明し、第2文型になる動詞を[「=」に多少のフレーバーが加味されている](p.15)と解説しています。
3 表現の一粒一粒に役割がまとわりついている日本語
「主語+述語(述部)」の構造で考えるとき、述語のなかみが問題です。大西・マクベイは、ここでも配置の仕方という観点で説明していきます。[動詞の後ろに必要な要素が入るスロットが空いていて、そこに要素を「置きにいく」という感覚](p.17)です。
つまり[あらかじめ意味の決まったスロットに要素を配置していく、それが英語の感覚です](p.17)となります。英語の骨組みは要素の配置によって成立するという説明です。具体的に[ネイティブの英語力を支える、感覚原則]5原則をあげています(p.ix)。
では著者たちは日本語について、どう説明しているでしょうか。日本語の場合、[て・に・を・は]や「赤・赤く・赤い」などの変化形](p.4)によって、[表現の一粒一粒に役割がまとわりついています](p.3)ということになります。わかりやすいでしょう。
日本語について考えるとき、個々の英文法についての説明よりも、こうした言語の原則についての解説のほうが役立ちます。松井力也『日本人のための英語学習法』と『ネイティブスピーカーの英文法絶対基礎力』を、もう一度合わせ読んでみたいと思いました。