■リーダーになること:あなたの営業所のミッションは何か?
1 会社全体の効率化
営業所を任されるリーダーは、本来ベテランになるものです。ところが営業成績が抜きんでた人がいなかったようです。教え子には、業務マニュアルのつくり方を教えました。きちんと業務を書いてきましたので、業務が見えてきている状態になったといえます。
実際の仕事をするのは本人ですから、ここはこうすることは可能であるか、その方がよいのかなど、いくつかのポイントについて質問をしていきました。たいてい、その場でこの方がよいということが見つかります。これをマニュアルに反映させていったのです。
成果が上がりだすと、さらなる改善がしたくなります。ただし会社の承認がなくては実現不可能ですから、提案をするしかありません。運のいいことに、それらのかなりの部分が受け入れられて、会社全体の効率化も進みました。それが評価につながったのでしょう。
2 自分で業務を作ること
リーダーとして、営業所をどうしたらよいのか、それが問題です。自分ではなくて、今度はスタッフがやりやすくて、やる気になる仕事を作らなくてはなりません。まずは、会社や取引先からの条件に適うものにすることが前提です。そこからスタートになります。
いまのところ、その整備に追われているのです。自由にやっていた時と違って、新しい営業所ではどうするのか、あれこれの場合について、リーダーとして指示できなくてはなりません。その過程で、自分でできることが見えてきます。提案もできるでしょう。
しかしまだ営業所における業務マニュアルが整備されていません。条件に適ったうえで、自分の決断で構築できる仕組みを作り、必要に応じて新しい業務プロセスを導入する必要があります。自由にできる領域があるのに、まだ自分で業務を作っていないのです。
3 組織のミッションを見出すこと
自分の領域だけなら、改善はわりあい容易にできます。ところが好きにやってよいと言われると、以前やっていた仕組みを調べたくなるのです。組織の目的が見えていないためでしょう。いままでと違って、組織のミッションを考えなくてはならなくなります。
ドラッカーは『経営者に贈る5つの質問』で大病院の救急室のミッションについて語っています。ミッションは「健康」にはなりません。「患者の安心」になりました。そこから、運び込まれた患者を1分以内に診るという行動指針が出てきます(pp..12-13)。
新しい営業所をどういうものにすべきか、本気で考えないと、新しい仕事の仕組みは構築できません。ドラッカーは[リーダーたる者は、組織のメンバー全員がミッションを理解し、信条とすることを確実にしなければならない](p.12:2009年版)と語っていました。
新しい営業所には、効率的な仕事による成果が必要になります。その基礎になるのは、ミッションを考えることです。お手本は「患者の安心、そのために患者を1分以内に診る」です。簡単には見えてこないでしょう。仕事をしつつ、考え続ける必要があります。