■リーダーになること:営業成績が一番だった若者の場合

   

1 2年目の抜擢

今年から営業所を任された教え子が苦戦しています。入社して2年になる少し前に、営業成績が抜きんでていたため、新設の営業所のトップに抜擢されました。いきなりリーダーになったので、戸惑うばかりのようです。当然こうなると予想されていたことでした。

一社員としての成績は自分一人で何とかなる領域が大きかったでしょうが、リーダーになったら、自分一人でできることなど限られます。入社した中でも飛びぬけていたとはいえ、こんな新人に営業所を任せる会社も、それなりに事情を抱えているのでしょう。

卒業後、数か月して、どうしても営業成績が一番になれないと連絡してきました。特別に負けず嫌いの性格ではありませんから、何かあったに違いありません。ひとまず、どんな状況なのかを聞くことにしました。それ以降、連絡が断続的に続いています。

     

2 営業成績についての違和感

どうやら営業成績が一番の人の接客態度が好きになれないようでした。言葉づかいからして、おかしいと言うのです。例にあげた話が本当なら、たしかにおかしいと思いました。事務処理もかなりいい加減だというのです。たしかに、そういう人はいます。

しかし好きになれないという程度のことでした。違和感があるのです。自分は丁寧に対応して、少なくとも言葉づかいも事務処理も、おかしくないはずだと感じているようでした。しかしいつも営業成績がその人に負けるのです。何でだろうということになります。

会社には営業マニュアルがありませんでした。必要なルールはありますし、手続き方法もある程度は決まっています。しかしかなり自由な会社でした。やるべきことは日々の業務の仕組みがどうなっているかを記述して、自分用の営業マニュアルを作ることです。

      

3 秘密は営業マニュアルの作成

営業マニュアルを作って改善していけば、成果が上がることでしょう。実際、記述の仕方を教え、改善の検討を何度かしていくと、数か月後、一番であることは当然のことになり、そこからは圧倒していきました。社長の目に留まってもおかしくありません。

このこと自体は素晴らしいことでした。会社側は、営業マニュアルという秘密があることに気がつかずに、どうやら成績をみて過大評価をしたのではないかと思います。いきなりリーダーになれるはずありませんし、失敗は確実でした。実際、そうなっています。

まじめな人間は、それでも何とかしようとするものです。残業がどんどん増えていきます。体がだんだん持たなくなってきていました。やっと、明らかにおかしいと気がついたようです。リーダーになるのは簡単ではありません。いわゆるSOSがきたところです。

さあ、どうしましょうか。本人は、まだ頭が切り替わっていません。おかしいのには気がつきましたが、まだ新たな考えを獲得できずにいます。それにしても、こういう経験を20代前半にさせるのですから、少しずつ日本も変わってきたのでしょう。
(この項、続きます。)

      

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