■楽観的・ポジィティブになる理由:「パラノイア(病的なまでの心配性)だけが生き残る」

    

1 積極性と心配性

新しいことをする人は、楽観的でなくてはいけないというのは、ほぼ常識になっています。実際に成功している人をご存知なら、ある種の積極性を感じるはずです。同時に、単純な楽観的思考、ポジティブ思考ではないのに気づきます。

インテルを世界的企業に育てたアンドリュー・グローブは「パラノイア(病的なまでの心配性)だけが生き残る」と言っていました。心配性ならば、悲観的な思考に傾きます。ふつうにしていれば、あれこれ気になりますから、ネガティブ思考になりがちです。

なぜ心配性でなくては困るのか、それでも、なぜ成功者は楽観的になるのでしょうか。簡単な理由だろうと思います。少なくとも、組織の仕組みを考えるときには、この点に考慮しておく必要があるでしょう。

     

2 心配性を仕組みに活かす

心配性であるならば、心配の種を発見できます。意識して探していないと、見つかりにくい、見落としがちなことも、そのつもりで見ていくと、見つかる可能性が高くなるでしょう。だから、意識して心配の種を探す必要があります。

心配の種を探したら、それを放置すると、間違いなく悲観的になります。それを放置しなければいいだけでしょう。心配の種を一つずつなくしていくことによって、安心が得られるということです。行動が必要になります。これを仕組みにしておくのです。

①心配の種を探すこと、②心配の種を報告する仕組みを作ること、③その心配の種に対する対応策を考えること、④対応策を実際に行動すること、⑤対応の結果を検証すること、これらが必要になってきます。

     

3 成果をあげる業務

なぜ成功している人たちが、楽観的で積極的なのか、以上からも推測がつきます。心配の種を他の人よりも探しておいて、それをつぶしていき、それでもこれなら行けそうだという見通しを見出したなら、そこに全力で集中的に攻め込むことになるはずです。

こうした個人での思考を組織でも持っておいた方がいいということになります。仕組みにしてしまうと、各人も、同じように考えるようになるのです。すべてを疑っていたら困りますが、各人が、それぞれ考えていくと、そこに多様性があるので効果が上がります。

成果をあげる業務の仕組みを作ることが、業務マニュアルを作る意義です。ただの業務のやり方を記述しただけでは不十分だということになります。心配性を悲観的思考にさせずに、積極的な行動に結びつけるようにしたほうが成果が上がると言えるでしょう。