■なぜ財務省は経済音痴なのか? 知る人ぞ知る話

    

1 法学部中心の採用

財務省とか日銀とか、経済の専門家がそろっているはずですよね、と学生やビジネス人に問いかけると、かつては、そうだという表情をしました。しかし、そんな時代は過ぎたようです。財務省の人たちは経済音痴であると、かなり広く知れ渡っています。

一部の人なら知っていたことでした。とくに公務員試験のテキストを作ったり、その一部を講義した人たちなら当然、ご存知だったでしょう。国家公務員試験の問題は法学部の人に有利なものですし、法律というのは暗記が多くて、ロジックも決まっています。

日本では、経済学のレベルはかなり低いままのようです。国家公務員試験の合格者は優秀な人たちのはずですが、しかし経済学の水準を見ると、とても世界に通用しないでしょう。なぜ財務省の人たちが経済音痴なのかといえば、経済学を知らないからです。

     

2 制度整備が優先された戦後

日本は戦後に経済の高度成長をしました。民間の経済人がどんどん起業して会社を大きくしていき、また戦前から継続する会社の中からも、戦後に巨大になった会社が出てきたのはご存知の通りです。国の経済政策によって、会社が大きくなったわけではありません。

大蔵省→財務省となっても、官僚の方々は法学部出身者がほとんどです。民間の会社が経済成長を推進してくれますから、国のなすべきことは制度整備のほうでした。必要なのは法律です。法学部中心の採用になるのは、その頃なら、当然のことだったでしょう。

しかし1990年代から日本の人口も減少に向かい、経済成長のエンジンが民間任せでは心もとなくなっています。こうした現象を欧州では先に経験しています。日本ではその対応が遅れました。経済学が必要なときに、その知識のない官僚が多数を占めているのです。

      

3 低いままの経済学の水準

日本の構造が変わって、経済政策の重要性が高まってきた以上、経済の専門家が政策に関与しなくてはなりません。アベノミクスの理論的な裏づけは、今年ノーベル賞を受賞したバーナンキの理論だともいわれています。少なくとも日本の経済学ではありません。

ある年齢に達してから、あらたに経済を学んでも、もう間に合わないでしょう。外から優秀な人を取り入れるしかありません。財務省が抵抗するという構図でしょうか。簡単な問題でないのはよくわかります。しかしとにかく経済学のレベルは低いままです。

もう十数年前のことですが、私のように経済学を正式に学んでいない人間にまで、公務員試験対策の経済学の講義を依頼してきた機関がありました。経済学専攻の講師の評価が低すぎたようです。その後、経済学のスコアが上がったという話を聞いていません。