1 プロ用が求める内容
『基礎から学ぶマネジメント』とか『マネジメント入門』とか、あるいは『ベーシック・マネジメント』などという題名の本があったとしたら、たぶんリーダーの役には立たないのではないか。この種の本で、何をしようというのだろう。意味がないに違いない。
マネジメントというのは、こういうモノですよ…と言われても、もし現役のプロフェッショナルなら、何だが大学の教養課程用のテキストみたいに感じるかもしれない。マネジメントの基礎を知らないという人でも、プロが求める内容と違うのはわかるはずだ。
マネジメントなど何も知らない、学んだことなどないとおっしゃる方がいても、別にめずらしくもない。そして『マネジメントの基礎』といった本では、物足りない。なぜなのか…。リーダーになったら、何をしなくてはならないのか、そのあたりが問題になる。
2 リーダーの一番大切な仕事
リーダーの仕事の中で一番大切なことは何か。一番といっても、唯一ではなくて、いくつかある中でも、抜かせないものは何か。たぶん今後、問題になるだろうことがある。それはかつての管理職の仕事とは違ったものになるだろう。管理ではないからである。
リーダーの仕事で大切なことは、ビジネスの仕方、業務の仕組みが現状でよいのかどうかを、検討することであろう。業務の構築がリーダーの仕事である。大きく言えば、ビジネスモデルを作ることがリーダーの仕事だということになる。
そのためにどうしたらよいのか。何らかの役に立つものがないのか。そういうときに、「そうだ、マネジメントだ!」と思った人がマネジメントを学ぼうと思い立つ。しかし基礎からのマネジメントではない、流行のビジネス書のトレンドとも違う。
3 『経営者に贈る5つの質問』という本
ビジネスを構築するために、どうしたらよいのか。これがリーダー用のマネジメントの基本である。こういう本がほとんどないから、たいていの場合、マネジメントへの期待外れになる。とにかくリーダーの仕事に役立たなくては困るのである。
ビジネスを構築するということを意識して、マネジメントを構築したらどうなるだろうか。たぶん一番すっきりしている本は、『経営者に贈る5つの質問』かもしれない。何といっても、薄いのがいい。マネジメントのエッセンスが語られている。
1990年代になって、リーダーになる人たちのために、使えるツールが必要不可欠になって、ドラッカーがそれを作ったということである。1954年の『現代の経営』が読めないという人でも、この本のドラッカーが語ったところだけなら、まず間違いなく読める。
もしリーダーに対して、何かいい本がないかと聞かれたら、『経営者に贈る5つの質問』と答えるしかない。ただし、これだけでは不十分ですけれどもね、と言いながらになる。もし読んだという人がいたなら、これだけでは足らないと言うに違いないのである。