■組織の人材育成の基本:田嶋幸三『「言語技術」が日本のサッカーを変える』

      

1 ベンチの指示を仰がなかったイタリアチーム

田嶋幸三の『「言語技術」が日本のサッカーを変える』という本を大切にしています。「はじめに」に紹介されている話に驚かされました。2006年のワールドカップの準決勝のイタリア対ドイツ戦でアシスタントレフェリーを務めた廣嶋禎数の話です。

▼「イタリアの選手が退場させられて選手が1人減ってしまったその時、イタリアの選手たちは、誰1人として、ベンチを見なかった」
イタリア・チームは、状況からして非常に不利な局面を迎えていた。にもかかわらず、選手たちはベンチに指示を仰がなかった。その場で話し合いを始め、10人でどのように試合を進めていくのかを即座に決め、お互いに指示を出し合い、発生した問題を解決していった――というのです。 p.8

もうこれだけで十分なくらいのインパクトがありました。サッカーに限らない大切な話です。サッカーについてほとんど知らないため、ちょっと待てよと、この人のことを調べてみたら、現在、日本サッカー協会の会長とのこと。有名な方でした。

     

2 日本チームの自己決定力

田嶋は言います。[究極の状況下で、自らが考えて判断を下す「自己決定力」。その力を備えていない限り、世界で通用するサッカー選手になることはできない、という事実を明確に示している――そうした出来事だと、私には思えたのでした](p.9)。

当然ながら、[日本人選手はどうでしょう?]と問うことになります(p.9)。U-17で監督を務めた経験から、何かあると[自分自身で答えを探すことよりも、私の解答を求める様子がありありと見える]という状況です(p.11)。若者ばかりではありません。

こういうとき、田嶋はどうすべきだと考えるのでしょうか。[世界に通用するサッカー選手をたくさん育てていくためには、自分の考えや意思を、自分の言葉できちんと表現する力をつけることがどうしても必要になる](p.18)と言うのです。

    

3 組織の人材育成の総論

以上はすべて「はじめに」に記述されています。この部分が総論の中でも核になるところです。ここだけで、何かを感じる人ならば、ここからは自分で考えることが出来るでしょう。すでにヒントは与えられていますし、一番の問題も提示されています。

この後に記されているサッカーのことは、よくわかりません。少なくともビジネスの世界とは違うなあと思うところもありました。ビジネスリーダーならば、この十数ページの「はじがき」を読んで、組織での人材育成について考えてみるのがよいと思います。

組織での人材育成において、「言語技術」を重視することは、日本ではまだ例外的なことです。しかしキーポイントというべきでしょう。自分で考えて、それを明確にする必要があります。他人に分かるように表現できることが必要です。

自説を明確に表現することは、基礎的な能力といえます。それがあれば、田嶋の言う「自己決定力」が身についてくるはずです。では、どうやってそれを習得していったらよいのでしょうか。これを考えることが、各人、リーダーの課題だということになります。

       

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