■講義の検証について:検証方法をめぐって

     

1 文章チェック講座の検証

いつものことながら、6時間の講義を終えると、あれは失敗、これももっとよくできたかもと、いろいろ気になってきます。先日の文章チェック講座も、いくつか失敗したと感じるところがありました。まず項目の並べ方について、もうひと工夫したいと思います。

アンケートとは別に、後半部分の演習のところに、もっと普通の文章の修正事例を入れてほしかった…というご意見もありました。これはいささか堪えました。ダメな事例として、ありがちなものを出すのが効果的だと思っていたのです。思惑が外れました。

複数の演習を通じて、自説の明確性が大切だという最初の話が確認できるのではないかと、期待していたのです。演習のあと、きちんと説明しないと伝わらないということでしょう。適切な事例が複数見つかったので、演習でわかるだろうと期待したのでした。

      

2 検証方法:新たなテキストの作成

言い訳をするつもりなら、いくらでもできるのが講義なのかもしれません。問題演習の問題数をあれよりも増やすことは、あまり効果的ではないですし、時間が足りなくなります。今回は、演習後の解説の時間が足りませんでした。何らかの工夫が必要です。

こんなことを、あれやこれや、毎回振り返っています。最初の説明の後に、分析方法を解説して、そのあとに複数の演習をやり、これらに共通する問題点を意識するという組み合わせがよかったのかもしれません。検証してみたいと思っています。

検証方法については、講義をすでにおやりになっている人からも聞かれたことですので、書いておきましょう。実際に講義をするときのように、テキストを作ってしまうのです。作ったテキストで、ぶつぶつ話してみると、これは良いとか良くないとかわかります。

      

3 受講者の反応が重要

オリジナリティのあるテキストを作ろうとしたら、考え方を全面的に変える必要があるのかもしれません。しかし、シュンペーターのイノベーション理論からすると、新しい組み合わせこそが問題です。項目の並べ方と、それらの結びつけ方が一番の問題になります。

講義がありがたいのは、頭の中で結びつけて、これでよいだろうと思っても、反応を見ると、思っていた効果がなかったということが分かることです。講義をやっていくと、わかっているときの顔つきと、そうでない場合のときの顔つきとでは、違ってみえます。

こうした経験が何度かあると、だんだんこのテキストではうまく伝わらないかもしれないという感触がもてたり、勘が働くようになるのです。こうやって少しずつ受講者から学んでいくことによって、ある程度ならば、事前の予測が立つようになります。

今回の検証は、テキストの構成を見直すとともに、テキスト自体のつくり方を総点検することがポイントです。テキストの作成方法を、ゼロベースで考えてみたいと思っています。会場参加者が多くいらっしゃると、感じることが出てくるなあ…と思いました。