■スマートフォン画面で見る操作マニュアル

      

1 スマートフォンの画面

もう10年くらい前のことになりますが、試験前に学生たちができる学生のノートを借りていました。別にめずらしい話ではありません。かつてならノートのコピーを取っていましたが、そのとき学生たちはスマートフォンでノートの写真を次々撮っていました。

さあ、それをどうするのでしょうか。見ていると、なかなか合理的な使い方をしていました。小さなスマートフォンの画面を見ながら、ノートに書き写しているのです。書けば覚えるからと言っていました。スマートフォンではやはり画面が小さすぎます。

あの頃の学生は、そんな使い方をしていました。しかし今では、ノートに書き写すことは、しないでしょう。コロナのあと、オンライン講義が広がりました。レポートでの評価が広がって、基礎的な訓練はかなりおろそかになってしまった気がします。

      

2 ノートパソコンとスマートフォンの2画面

かつてスマートフォン画面をノートに書き写していた学生たちも、社会人になっています。あの世代の人達も、もはや書き写さないでしょう。スマートフォンの画面がもっと見やすくなったのかもしれません。画面を見て、何とかそれで済ませてしまっています。

操作マニュアルも同じ使い方をする人が多くなりました。ノートパソコンに大きなモニターをつけて、二つの画面を見る人たちもいますが、これは多数派ではありません。多くの人は、ノートパソコンとスマートフォンを使って2画面を見ます。

パソコン側での作業をするときの操作手順をマニュアルで確認しながら進めていくのは普通のことです。そのときの操作マニュアルは、スマートフォンの画面で見るケースが多くなっています。最近、それを目の前で何度か見てきました。

      

3 IT企業の人が気づいた落とし穴

パソコンとスマートフォンをうまく連携させることが当たり前なのでしょう。ところが、意外な落とし穴がありました。ノートパソコンとモニターの2画面を見て作業をしている人たちは、パソコンとスマートフォンの2画面での使用に気がつきにくかったようです。

IT企業にいる人なら、スマートフォンもお手のものかもしれませんが、パソコン作業のマニュアルをスマートフォンで見たくないということでした。画面の広さが違いますから、それは当然でしょう。しかし実際にはスマートフォンで見る人がかなりいました。

もはやパソコン画面で見るだけでなくて、スマートフォン画面でも見られるという前提で操作マニュアルを作らないといけないケースが多くなってきたようです。いつくかの操作マニュアルを確認したところ、パソコン前提のマニュアルが思いのほかありました。

スマートフォンでのマニュアル閲覧を嫌がる組織もありますし、パソコン画面用のマニュアルが悪いのではありません。ただ両方で見られる可能性が広がっています。スマートフォン画面を見た作成者が、別のマニュアルみたいだと嘆いたのは印象的なことでした。