■若いリーダーからの質問:どうやって勉強するのか?

     

1 自分の能力を高めたい若者

少し前のことですが、転職してやっと時間が取れるようになった若者から、勉強したいという話を聞きました。それまでは仕事を覚えていくことが勉強だったのでしょう。まじめな性格でしたから、チーフになっていました。しかし忙しすぎたようです。

もう先が見えてきたということでした。いわゆる管理職になって、最前線から離れることになります。たぶんもうそんなに勉強にはならないということでした。意外かもしれませんが、こういう若者は例外ではありません。自分の能力を高めたいと願っているのです。

いままでは実務での勉強が中心でした。しかしある程度の地位になってみると、リーダーになるための勉強が必要なのだと気づいたのでしょう。自分は何も知らない狭い世界の中にいたと言うのでした。その通りではありますが、それは例外的ではありません。

     

2 量が質に変わる原則

勉強したいのなら、仕事に関係することでも、自分の関心のある分野でもよいから、とにかく勉強してみればよいと答えました。勉強するうちに、自分なりの勉強法ができてくるはずです。量が質に変わるということがあることも確かだと、そんな話もしました。

私がテキストを作っているものですから、どうやって本を読んで自分なりの考えを作っていくのか、どうやって勉強しているのか、気になったようです。特別な方法などありません。やや多めに本を読むこと、毎日、思いつきをメモしていくことが中心です。

その中で、これはという本が見つかったら、それをきっちり読むことにします。読み方は決まっていません。本によって違います。同じ本を何冊か購入して、本をノート代わりにして、書き込んでいくことが多いかもしれません。だいたいこんなところです。

     

3 勉強の中心は思考を明確にする作業

若者からすると、私のメモの量がずいぶんおおいと思ったようでした。どこに行くのでも、メモ用紙とペンを持っていきますから、もはや習慣です。次々新たなメモを積み重ねていきます。それらを見返すことは、あまりありません。特別な場合のみです。

同じテーマでも、自然に切り口が変わります。自分なりによい考えだと思ったことは、忘れないうちに書いておくことが大切です。多くの場合、メモを書いた直後に、もっと明確な表現にできないかを確認します。これをしておくと、もうあまり忘れません。

書いたものをすぐに検証しておけば、自分にとって価値があるかどうかも見えてきます。覚えていた断片が、その次のメモにつながりますから、重複も多くなるでしょう。また、本を読むことで大切な素材が得られますし、本への書き込みも重要な素材になります。

結局、勉強の中心になるのは、書くことによって思考を明確にする作業だと言えそうです。こうした作業を積み重ねて、らせん階段を上がっていくようにレベルアップすることが目標です。若者も、そのうち自分流が見つかるだろうと期待しています。