■日本語の文法用語の再構築:「どんなだ」言葉の活用の有無

    

1 文法嫌いの感覚は自然な反応

日本語の文法のテキストを書く約束をしたまま、なかなか書けずにいます。文法など考えたこともないし、考えたくない人にとっても、役に立つ何らかのルールが示せたらという願いがありました。だんだんそうした方とお話をする機会が増えています。

普通の文法書の用語をあれこれ使いだした場合、わからないと言われて終わりになることはほぼ確実です。もう一度、わかりやすく説明できなくてはなりません。シンプルな説明ができなくては、わかったことにもならないでしょう。そう思うようになりました。

形容動詞という用語は、それだけで嫌がられます。あるいは副詞もいらない品詞扱いされるでしょう。大多数がそう反応します。こうした反応は不自然ではないと思うのです。ピタっといってないものは受けつけられないというのは、自然なことだと思います。

     

2 副詞という品詞の問題点

日本語の文法をもう一度、構築する必要がありそうです。形容動詞については以前書いたことがありました。副詞については、三浦つとむ『日本語はどういう言語か』によい事例があります。「がたがた」という言葉は副詞扱いされていますが、三浦は否定的です。

三浦は「私の家は古くてもうがたがたです。」という例文を上げて、[<副詞>とよぶべきか否か疑う学者もありますが、これらは私のいう<静詞>であって<副詞>ではありません](p.178)と記しています。副詞という品詞の定義が難しいのです。

「がたがた」という言葉は活用しません。「おんぼろ」という言葉に変えると、先の例文は「私の家は古くてもうおんぼろです。」となります。このときの「おんぼろ」の品詞はどうなるでしょうか。名詞か形容動詞とされています。なんだかピタっと行きません。

     

3 「どんなだ」と「活用」

日本語には「状態」や「評価」の概念を表す言葉があります。この種類の言葉が示すのは、「どんなだ」ということです。「この建物は美しい」「この建物はきれいです」というのは、ともに「この建物」の状態や評価を「どんなだ」と示していることになります。

文法が嫌いだという人も、「どんなだ」ならば、わかると言うのです。そこで、「どんなだ」を表す言葉が2種類あるという話になっていきます。片方は活用する言葉、もう一方は活用しない言葉だということです。「活用」という言葉も、文法嫌いの人に通じます。

私流の文法では「活用する・しない」を判別するのは簡単です。「のである」をつけてみればわかります。「ガタガタ」「オンボロ」「美しい」「きれい」を見てみると、「美しい・のである」と言える「美しい」だけが活用するということです。

「どんなだ」(状態・評価)を表す言葉のうち、活用する言葉のグループは「形容詞」と呼ばれます。活用しない言葉のグループの場合、「は/が」を接続するときに「なの(は/が)」となる点でも共通していますので、「ナノ体言」で通じるのか、チェック中です。

     

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