■『経営者の条件』へのドラッカー自身の一筆書きとその修正:『われわれはいかに働きどう生きるべきか』第1章

    

1 『経営者の条件』の修正

ドラッカーが1970年代に行ったインタビューを本にした『われわれはいかに働きどう生きるべきか』は意外に知られていません。「研修テープ」を文字おこししていますので、読みやすい本です。このなかで第1章はすこし他の章と違っています。

第2章以下は、目次の最後にも小さく書かれているように[インタビュアーとドラッカー教授の対話形式です]。第1章はインタビュアーが問うたことに対して、ドラッカーが自由に語っています。対話というよりも、インタビュアーが拝聴しているという気配です。

第1章は、ドラッカー自身による『経営者の条件』の一筆書きになっています。1966年の刊行から[10年以上が経ち、少し考えが変わりました。重要性のウエイトが若干変わったのです。また、項目も一つ増えて、五つから六つになりました]とのことです。

      

2 6つの習慣的な能力

『経営者の条件』でドラッカーが書いたことは、インタビュアーが問うた内容と言えます。[成果をあげるには何が必要でしょうか]ということです。ドラッカーはこれらを[繰り返しによって習慣化することが大切だと指摘]していました。

▼成果をあげるには、いくつかの習慣的な能力を身につけなければなりません。
第一が、時間をマネジメントすることです。
第二が、貢献に焦点を合わせることです。
第三が、強みを築くことです。
第四が、重要なことに集中することです。
第五が、的確に意思決定を行うことです。(中略)
第六が、成果を評価することです。自ら目標を立て、自らを評価することです。

第六が加わった項目にあたります。『経営者の条件』を読む人は、その後に書かれたドラッカーのフィードバックについての文章を読む必要があります。この点、『経営者の条件』に加えて必要な文章を追加しているのが『プロフェッショナルの条件』です。

かつて上田惇生先生に、『プロフェッショナルの条件』は「エッセンシャル版 経営者の条件」を含んでいますね、と申し上げたことがあります。「そうそう、そうなの]という答えがありました。ドラッカーは自著をその後、修正して補強する文章を書いています。

      

3 語られる2つのポイント

『われわれはいかに働きどう生きるべきか』の第1章が貴重なのは、20頁たらずの分量で、自らが『経営者の条件』のエッセンスを語っていることです。いわば、ドラッカーによる自著の一筆書きと言えます。どこにアクセントが置かれるかが読み取れるのです。

[重要な仕事のほとんどが、かなりまとまった時間を投じなければならないということ](p.10)を知ることが第一のポイントになります。[マネジャーの仕事というものは、中断されることのない連続した時間を要求するものなのです](p.11)。

そして[致命的に重要なのは、目標だ](p.14)というのが第二のポイントになります。[実は、目標の設定そのものには、それほど時間はかからない](p.13)のです。それに先立って考えておくべきことがあります。そのエッセンスが第1章で語られているのです。

      

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