■人材育成の仕組み:目指すターゲットとそのための準備

     

1 育成は大変なこと

ある程度の経験を持つ人が新しいことを習得しようとして努力するときと、新人の人との習得の早さの違いが問題になることがあります。普通なら新人の方が習得が早くて、経験者は遅いのだろうと思うことでしょう。そうなることも、よくあります。

しかし習得するものの対象が違ってくると、違いが出てくるのが一般的でしょう。場合わけをしてみると、その通りだとなるはずです。例えば一定以上に専門性のある分野ならば、ある程度経験がある人の方が、そこから飛躍することが容易だろうと思われます。

最初の段階で、超えなくてはならない前提条件が絡んでくると、そこの突破が簡単にいかなくなることがあるはずです。基礎知識があって、それを使った実戦の経験があると、いきなり容易になることがあります。この場合、前提条件の整備が必要です。

こうした前提条件があったとしても、一気に突破してしまう人も出てきます。個人差がありますし、その差は決して小さくありません。習得のレベルがどうなるかは、簡単に把握できることではないですし、そうなると育成は大変だということになります。

    

2 指導のノウハウ

レベルの高い分野に関して、習得の早い人がいたならば、即戦力になりますから、組織の要請からすれば、こうした習得の早い人を集めてほしいということになるはずです。ところが外から見ていると、習得の早い組織とそうでない組織があるのに気がつきます。

超えなくてはいけないステップを押えている指導者が、その場にいるかどうかが重要なことです。ある種の誘導をしていくと、だんだんコツもつかめてきます。お手本となる人がいて、必要に応じて修正をしてもらえれば、習得する側も思いっきりやれるでしょう。

こうした指導する人がもつ習得のノウハウが重要になります。それを標準化して組織で改善していくことができたなら、学習する組織という職場になるでしょう。これがどのくらい成功しているかは、成果で測るしかありません。習得の早さ・レベルが問題です。

     

3 習得レベルの目安とその準備

芸術を教えられるかという問題がかつてありました。芸術というのは、教えることができないという考えが、いまでも根強くあります。実際、芸術家として一定レベルを超えた高い水準では、もはや本人の努力しかないはずです。そこまでの話ではありません。

最低限のことができるようになって、一部の人はプロとしてやっていくかどうか考える水準ということになると、芸術大学のレベルということでしょうか。そうした大学に入れるくらいの水準を想定しながら、習得のためのノウハウを充実させていく必要があります。

ビジネスでの仕事は多様です。単純化することは簡単にはできません。先日、習得について話しているときに、習得のレベルと早さが問題になりました。例えばの話でしたが、芸術大学への入学水準、その習得期間が評価基準になるのではという話になったのです。

当然、ここから話が始まります。向き不向きを選抜するしかない、単一の分野だけでは負けてしまう、習得期間の判断には実績データが必要だ…となります。一流と言われる組織の人でも、あまりこうしたことを意識していません。こりゃ大変だ、となりました。

   

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