■人間の読み書きの方法とAIのアルゴリズム

     

1 生成AIと人間の相性

人間は、すべてのデータや情報が集まってない状況下で、かなり正しい判断が出来る、これが人間の人間的な能力であると、ウィナーが言っていました。定型的な文書ならAIが文書生成してくれるようになります。今後、まずまず良いものになってくるはずです。

20世紀の初めに機械が導入されて、作業が自動化されました。機械化によって、いわゆる肉体労働者は激減していきます。それによって人間の仕事がなくなったのではなくて、拡大していきました。同じことが、生成AIの発展に伴って起こってくるはずです。

人間の読み書きの能力と、機械の文書生成能力は別のアルゴリズムから生まれています。両者は補完関係というべきものです。たぶん両者の相性は悪くありません。生成AIが進歩すると、人間の仕事がなくなるという発想は、現実的ではないと思います。

    

2 ルーティン業務をAIが担当

すべてのデータや情報が集まって、そこから何かを考えるということ自体、ビジネスをやっている人たちからすると、価値の高いものではないでしょう。ルーティンと言われるものの、かなりの部分をAIが担当してくれるようになるはずです。

現実社会では、新しい事態がつねに起こります。当然のことながら、判断材料がすべてそろっているなどということはありません。かならず何かが足らないのです。そういう中で、正しい判断をするためには、類推を使ったり、ある種のカンが必要になります。

すべての材料がそろっていて、誰もが同じように考えるものであるならば、創造的ではありえません。創造性というものは、ある種の飛躍が必要です。そのためには、ある程度の時間が必要になります。ルーティンをAIが担当してくれるのはありがたいことです。

    

3 あやうい基礎知識

いままで何度か、AI技術の開発をする方から、日本語分析の方法について、情報交換したいというお話をいただきました。どういうお考えなのか逆に知りたくて、お話したことがあります。数回にすぎませんが、毎回、ああまたかという感じを持ちました。

かつてお話したワープロソフトの日本語変換技術にかかわった人などと、同じ傾向があります。実績をあげてきたという自信があって、ある種の大胆さがあるのです。脳の領域の話や言語の分野について、ずいぶん単純化した素人レベルの知識を前提としています。

明らかに勉強不足なのですが、同じレベルの方々と勉強会をなさっていたりすると、その辺がわからなくなるようです。これは日本だけの特徴なのか、それはわかりません。人間の言語運用方法と機械の方法が違うというのは大前提となるものです。

たまたまお会いした人達ですから一般化できませんが、しかし一般の方でも同じように考える人が出てきています。ごく最近でも、人間が文章を読み書きする方法は、機械とは全く違うと言うと、ああ誤解していたと反応した例が、複数あったのでした。

     

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