■リーダーが必要なたった一つのこと:ビジネス書の扱い方

    

1 ビジネス書のほとんど役に立たない記述

たぶん小さな組織だろうが、小さな部門だろうが、リーダーになった人なら、ある種の共通の感覚を持つことが多いだろうと思います。おっしゃることはその通りです、それがどうしたのですか…といったことです。例えば、こう書かれた文章をどう読むでしょうか。

▼すぐれたマネジャーになるために忘れてはならないのは、部下にはそれぞれ個性があること、そしてあなたの主要な責務はこの個性を排除するのではなく、活用できるように、役割や責任や目標のほうを調整することだ。 マーカス・バッキンガム『最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたった一つのこと』

その通りでしょう。だからこそ、たいていの人は、このことをよく知っています。人それぞれに個性があるということがわからない人がいたら、お目にかかりたいと思うはずです。個性を排除する人など、いまどきいるのか…と思うかもしれません。

当然のことですが、やるべき業務を、個性を理由にやらなかったら、それは許されることではありません。個性にあわせて[役割や責任や目標のほうを調整する]のも、微調整に近いモノでしょう。どうやらピントの外れた話のように思います。

      

2 ビジネス書を活用することが必要

じつのところ『最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたった一つのこと』という本で、マーカス・バッキンガムは、先にあげた言葉のように、ほとんど意味のない内容の文章を何度となく書いています。本気で読む気になれないと言ってよいでしょう。

リーダーの中には、ビジネス書が嫌いな人が必ずいます。そして、あんなもの空論だというのです。それは正しいとも言えるでしょう。ただ、ここでは先の引用の用語を少し変えてみたらどうかと思います。例えば、以下のように変えたらどうでしょうか。

本には[それぞれ個性があること、そしてあなたの主要な責務はこの個性を排除するのではなく、活用できるように][調整することだ]と。本の場合、微調整でなくて、大胆に調整が可能です。費用対効果を上げるという言い方も可能だと思います。

      

3 リーダーとはどんな人であるか

最初から最後まできっちり読むべき本がある一方、何か一つでも役立つこと、活用できることがあればよしとすべき本もあります。後者の場合、なるべく早く必要なところを見つけ出せば、効率的です。さっと読むべき本であることを意識する必要があります。

『最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたった一つのこと』という題名は、象徴的でした。この本で活用すべきことは、まさにたった一つのことです。その他は本にするための肉づけにすぎません。幸いエッセンスが、本の帯に書かれています。

▼リーダーは、情熱的でなくても、魅力的でなくてもいい。
弁舌に長けていなくてもいい。
どこを目指しているか、いま何をすべきかだけをはっきりと示せればいい。

マーカス・バッキンガムのいうたった一つのことは、まったく正しくて、その短さにも価値があります。リーダーとは、[どこを目指しているか、いま何をすべきか]を示す人です。目標を示し、その達成手段を示し、いま何をすべきかを示すことが求められます。