■今年の専門学校での講義を終えて:日本人の劣化

     

1 ベトナム留学生の学力向上

1月末で学校の講義が終わりました。まだ採点が一部残っていますので、あと数日そちらに時間がとられます。専門学校でだから個性派ぞろいと言いたいところですが、日本人の場合、見た目にはあまり差がありません。ただし試験になると大きな差になります。

留学生の場合、個性派がかなり揃っていますし、試験で最高点をとるのはたいてい留学生です。最低点も留学生ですが。これは毎年変わりません。高校を卒業して、すぐに日本にやってきた学生や、大学を出て仕事についてから日本に来た学生もいます。

最近はベトナムからの留学生が増えてきました。毎年のことですが、なぜか女性のほうが成績がよいのです。今年のレポートで圧倒的な評価をつけたのは、ベトナムからの留学生でした。ここ数年、ベトナム学生の基礎学力のレベルが急速に上がってきています。

ペーパーテストの場合、圧倒的だったのは中国からの留学生でした。例年のことですが、トップはほぼ例外なく女性の、それも中国からの留学生です。今年の学生は大学を卒業後にやってきた人ですから、特別教えなくても自分で勉強してしまうレベルでした。

     

2 韓国での若者の就職状況

韓国からの留学生と話をしてみると、日本で言われていることに、かなりのバイアスがかかっていることに気がつきます。韓国の留学生の場合、数年で学生の雰囲気や成績が大きく変わることがありますし、実態を捉えることが難しいのかもしれません。

たとえば韓国での若者の失業率がひどいという話があります。実際、数年前まではあまりよくなかったと思います。留学生の数も増えていましたし、率直なところ、がっかりするような質の学生が多くを占めていました。日本が好きでもないのに来ていたのでしょう。

それがボイコットジャパンで雰囲気が変わりました。いい感じの学生がほとんどを占めています。彼らは、韓国がすごいのだと無理やり叫ばなくても平気です。ウソを言う必要はありません。韓国での若者の就職は、けして悪くなくて、かなり良いということでした。

     

3 自己評価の甘い日本人

日本ではなぜか、韓国の若者の就職難という報道がしばしば見られます。そうした記事を読むと、確定したデータに基づいたものでもないですし、そういう記事が喜ばれるのかなあと感じさせるレベルのものがほとんどです。実態が違うのですから無理があります。

そう思いたいときには、そういう記事が独り歩きをしていくのでしょう。本当かどうか、韓国国内の若者の状況を聞いてみればわかるはずです。韓国国内の友人たちの様子は、のんびりしたものだということでした。彼らに特別な学歴があるわけではありません。

国内と国外での見方がかなり違うようです。講義で、岸田内閣の支持率は高いのに、日本の株式市場での評価は最悪に近い、何でだと思うかと聞いてみました。わからないというので「支持を聞かれたのは誰?」と聞いたところ、ああ日本人ですねとの答えです。

東京市場で取引をするのは日本人ばかりではありません。外国人と日本人の比率はどうなっていると思うか、カンでいいから答えてみてといったところ、外国人が7割とピタリと答えました。言われているよりも、日本の劣化が進んでいると感じざるを得ないのです。

      

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