■オンライン講義について:その弱点と今後

    

1 情報量の問題

新形コロナの緊急事態宣言により、6月の業務マニュアル講座がオンラインのみでの講義になりました。会場で受講される方の反応を見ながら講義できないのは、残念なことですが、何度かこうした機会がありましたので、こちらも対策をたてないといけません。

たまたま専門学校での講義も、オンライン講義になっていますので、いくつか感じることがありました。両者で共通する重要な点は、情報量の問題です。初心者レベルの場合、情報量を一定以上増やすと、理解が落ちたり、ついてこられなくなります。

どうしてもオンラインの場合、緊張感を持続するのが難しいですし、聞き洩らしもあります。講義が長くなると、どうしても会場での講座ほど、集中できなくなるのは当然のことです。何度も繰り返す必要が出てきますし、情報量を絞らないといけません。

     

2 難易度の高い業務マニュアルの作成

業務マニュアルを作成する場合、業務マニュアルがどんなものか、おぼろげなからわかりましたという程度では、実際に作成しようとしても、どうにもなりません。ビジネス文書の中でも、業務マニュアルの作成が一番難しいものではないかと思います。

その場で全て覚えるのは無理ですし、講義内容をもれなくメモすることも実際的ではありません。そうなると、最低限のことをテキストに記載しておきたいですし、すこしは説明しておきたいと思うのです。しかし、これをすると情報量が多くなります。

情報量が許容範囲を超える場合、通常ではありえない勘違いも起こるものです。社長さんが先頭に立って業務マニュアルの作成をする場合、成功確率が高くなるのですが、そのお話をしたときに、私は社長でないので意味がないと理解した人がいました。

社長でない私たちが作成するときに、何をしなくてはいけないか…という項目を立てて、この点を強調したうえで説明を進めたのですが、こうなると該当部分をどう理解したのか心配になります。会場での受講では、こうしたことがまずないので意外なことでした。

      

3 オンライン講義を工夫するチャンス

オンラインでの講義の場合、最低限の基礎がわかっている分野でないと、なかなか理解が進まない傾向がみられます。個人差が驚くほど、はっきり出てくるものです。学校の講義で、学生に何度も簡単な質問しながら講義を進めていくと、その確認が出来ます。

何度となく確認をした事項でも、オンラインの場合、忘れてしまいました…ということになりがちです。結局のところ、ある時点でストレスを感じながらも、記憶しようと努力しないと、なかなか身につきません。これは学生に限った話ではなさそうです。

かつてのeラーニングの実験は、ほとんどうまくいきませんでした。下手な工夫をするよりも、会場の人向けに語る講義そのもののほうが効果的でした。しかしこれでは、ある種の観客にしかなりません。どうしても、効果が限定的だったように思います。

オンライン講義の場合、受講する人の関心とレベルとが合致すると、効果的でとても便利ですが、その確率が低いと感じる会社も出ています。コロナ後、ライブ講座が重視されるかもしれません。同時にいまこそ、講義をもう一工夫するチャンスだと思います。

      

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