1 両雄:小西甚一と小松英雄 日本語や日本文学の著作で今後も残りそうなのは、小西甚一と小松英雄のものです。小西は1915年生まれ2007年没、小松は1929年生まれ2022年没。二人とも最晩年まで質の高い文章を書き、ともに東京教育大学・筑波大学系の出身 …

■小松英雄の難問解決の際の自戒:うかつに膝を叩かないこと 続きを »

      1 日本人の指揮するブルックナー 中野雄は『小澤征爾 覇者の法則』のプロローグで、[いま、この東方の島国・日本出身の指揮者で、後輩達から「坂の上の雲」と仰がれ、目指す目標たり得る人物は、小澤征爾を除いて一人もいない]と記しています。その通りなのかもしれ …

■もう一人の巨匠:指揮者・朝比奈隆 続きを »

      1 『失敗の本質』の良さがわからない 野中郁次郎の「『失敗の本質』を語る」という本について、以前触れたことがあります。そのとき『失敗の本質』について言及していませんでした。特別、意識してのことではなかったのですが、この本が名著と言われているために、敬遠 …

■理解できない理論とのつきあい方:野中郁次郎の本をめぐって 続きを »

       1 どんな風にまとめるべきか 昨日、講義用のテキストを送付しました。これから、どう講義をしていくか、検討に入ります。6時間の講義ですから、A4の用紙に60枚程度の分量です。本、一冊分にあたります。毎回迷うのは、全体をどうまとめるかということです。 必 …

■「体系化」の評価基準 続きを »

      1 起承転結と春夏秋冬 中国では[四個が一つの単位となり、或いは一個が四等分される例は極めて多い]と宮崎市定は「東風西雅録」に書いています。とくに[一年を春夏秋冬の四季に分かつのは中国では非常に古く]からなされてきたことでした(p.236『宮﨑市定全集 …

■再び起承転結について:春夏秋冬のリズム 続きを »

     1 「起承転結」への誤解 「起承転結」と言っても、知らない人が増えてきました。漢詩絶句の四行が「起句・承句・転句・結句」であり、サンプルとして、「京の五条の糸屋の娘/姉は十八、妹は十五/諸国大名は弓矢で殺す/糸屋の娘は目で殺す」(諸バージョンあり)があげ …

■「起承転結」に対する誤解:ビジネス文書で使えない理由 続きを »

      1 文字化された和歌と筆録した和歌 小池清治は『日本語はいかにつくられたか?』で、『万葉集』と『古今和歌集』の違いについて、なかなか面白い視点で論じています。『古今和歌集』の「仮名序」で[「生きとし生けるもの」は皆、歌を詠むのだと貫之は言う]のだが、実 …

■「和歌の前の平等」についての解釈:小池清治と渡部昇一 続きを »

      1 フランク・ナイトのリベラリズム 日本には世界的な経済学者はあまりいません。数少ない一人に宇沢弘文がいます。シカゴ大学の教授で、スティグリッツの指導者でした。経歴からすれば、間違いなく優れた経済学者です。残念ながら論文を読んだことはありませんし、読ん …

■宇沢弘文のフリードマン批判は正しかったのか:対談での発言から探る 続きを »

       1 いきなり専門書は読めない またか、という感じですが、少し時間ができたから勉強したいと思うのだが、やはり若いうちに基礎を勉強しておくべきだったという話がありました。いきなり専門的な本を購入して、それを読もうとして挫折したとのことです。当然のことだと …

■鍵になる良い入門書:新たな専門領域の開拓のために 続きを »

        1 世界的な学者の書いた受験参考書 日本の国文学の代表的な学者をあげるなら、小西甚一は間違いなく入るでしょう。天才的な学者でした。『日本文藝史』を書いて、世界的な学者の地位を獲得したように思います。専門的な本だけでなく、『古文研究法』などの受験参考 …

■受験参考書のレベル:飛び抜けている小西甚一『古文研究法』 続きを »