1 言語の概論書で評価されるエドワード・サピア 千野栄一の本をもう一度読んでみて、あらためて勉強不足を感じました。言語学の学者といっても、ソシュールとかチョムスキーの名前を聞いたことがある程度のものです。20世紀に入って、インドヨーロッパ語の枠が外れて …

■言語学者について:千野栄一の案内から 続きを »

        1 ソ連の消滅が決定的になった要因 堺屋太一の『風と炎と』第3部が出てきました。時流解説の本です。1部も2部もあったはずですが、見つかりません。この巻だけ読んだようです。1992年の話なので、随分前のことですが、ページをめくるうちに、だんだんこの時 …

■ウクライナとロシアの関係:堺屋太一『風と炎と』第3部を読みながら 続きを »

       1 遺稿となった「私の考える言語学」 千野栄一は、一般には『外国語上達法』で知られた学者でした。言語学についても一般人に向けて、この学問のごく一部ではあっても理解できた気にさせる文章を残しています。2002年の「私の考える言語学」(『言語学フォーエバ …

■千野栄一の考える言語学:『言語学フォーエバー』『ことばの樹海』から 続きを »

       1 特別な存在の『山の音』 マーク・ピーターセンの『英語で発見した日本の文学』は、とても興味深く読んだ本です。この人は、母語でない日本語できちんとした文章を書いています。そして、文学がわかる人だと感じました。引用箇所が的確で、どれもが魅力的な文章を選 …

■文学がわかる人:マーク・ピーターセン『英語で発見した日本の文学』 続きを »

      1 「商才の民」との誤解 陳舜臣は『日本人と中国人』の第1章で、もと貿易商社の重役が、「中国人は商売の天才だ」と言うのに対して、この人が見えてなかった点を指摘します。重役は、上海、天津、広州などに駐在していたため[中国をかなり広く見分]したつもりだった …

■陳舜臣『日本人と中国人』:内容の濃い必読書 続きを »

      1 予測を間違えた楽観論 邱永漢の『中国人と日本人』を読み返しました。1993年に出された本です。書名を見ると、中国人が先になっているように、邱永漢はこの本で中国人の立場で書いていたという記憶がありました。出版直後に一度読んだはずです。そのとき違和感が …

■邱永漢『中国人と日本人』の楽観論とその根拠:なぜ間違えたのか 続きを »

      1 小倉芳彦の異議申し立て 岩波現代文庫版の宮崎市定の『論語の新しい読み方』には、小倉芳彦の解説がついています。興味深い内容です。『論語』衛霊公篇の「耕也餒在其中矣、学也禄在其中矣」をどう読むかについて、[私が最も眼目と思った]疑問点だとしていました( …

■議論の前提となる正確な読み:宮崎市定『論語の新しい読み方』をめぐって 続きを »

       1 日本の格付けの高さ 日本の古代史について、ちょっと面白い視点がありました。明石散人の『アカシックファイル』にある「解き明かされた『倭の五王』」での話です。倭の五王に対する通説がおかしいとの異議だてをしています。五王とは「讃・珍・済・興・武」のこと …

■倭の五王の格付けが低かった理由:宮﨑市定『謎の七支刀』の解説 続きを »

      1 ルネッサンスから十九世紀まで 高階秀爾『名画を見る眼』は岩波新書のロングセラーです。「あとがき」で言うように、[先輩の導きや先人たちの研究に教えられて、同じ絵を見てもそれまで見えなかったものが忽然と見えて来る](p.189)ことがあります。この本で …

■文章のお手本にもなる西洋絵画の手引き:高階秀爾『名画を見る眼』 続きを »

      1 11人の若者の「これから」 立花隆の『青春漂流』は、あまり知られていません。11人の若者を取り上げます。登場する[男たちは、いずれも、自分の人生を大胆に選択して生きようとしている男たちである][成功したか、失敗したかを語るにはまだ早すぎる例ばかり] …

■成功者の「空白時代」の取材:立花隆『青春漂流』 続きを »