■何となく日本しかないというイメージ:留学生との対話から
1 日本に対する評価
日本に留学してきた百人に満たない人数の話を聞いたところで、印象にすぎないでしょう。統計的に有意な結果は得られるはずもありません。それでも何となく気になって、専門学校に留学してきている学生に、どんな様子かを聞いてきました。
ここ十年の印象が積み重なっています。話を聞く限り、今年、急速な変化が起こっているわけではありません。ただ、ここ数年で日本に対する評価が変わってきていることは感じていました。日本が観光大国になってきたということを、彼らがよく知っています。
日本は、観光客にとって、非常に条件が良いという印象があるようです。とにかく物価が安いということが一番にあがります。治安が良くて、観光資源もたくさんありますから、日本に観光客が来るのは当たり前であって、まだ増えるということでした。
2 日本を選んだ理由は「何となく」
日本が観光大国になっているということが、留学生に影響を与えているのかもしれません。日本に対する情報が多くなって、何となく日本に行こうと思ったという学生が多くなっています。このあたりは、かつてと少し違ってきたのかもしれません。
ゲームやアニメなど、若いころから日本製に触れた人達が、日本に留学したいと思ったといったストーリーが、ほとんど聞かれなくなりました。そういう面もあるのかもしれませんが、それも要素の一つにすぎなくて、圧倒的なのは、「何となく」です。
アジアなら、日本でしょうということになります。中国やインドに留学したい人は、たしかに少数派です。留学するなら、日本しかないという感じが伝わってきます。アメリカをめざそうという人たちは一定数いるでしょうが、アジアなら、日本しかないのです。
3 日本はアジアで圧倒的な存在
留学生たちは、全員日本での就職を望んでいます。かつてなら、自国に帰るという学生が何人かいましたが、いまはゼロです。これは就職状況が影響している可能性があります。ことに中国の留学生は、一時的に来ただけで、中国に帰るという人が一定数いました。
あいかわらず、中国からの留学生が多数派を占めています。ここ十年、つねに過半数の学生が中国出身です。どこかの地域に集中しているわけではなくて、あちこち、ばらけています。とはいえ、東北地域と、長江流域からが多数を占めることには変わりありません。
ノーベル賞の受賞者が、アジアでは日本が圧倒しているように、留学しようとする国は、日本しかないということが確立しているのです。経済指標などでは、日本のシェアが下がってきていますが、国の全体的なイメージの評価では、日本は他国を圧倒しています。
ふだん日本人だけで話をしていると、日本はどんどんダメになってきているという感じを持つはずです。しかし、外から見た日本のイメージは、圧倒的なものになってきています。政治や経済とは違った指標が必要なのかもしれません。こんな印象を持ちます。
