■テキスト作成と法律の構成

    

1 まだ名称も確立していない「OJTマニュアル」

昨日、14日におこなわれるOJTマニュアル作成の講義用のテキストを提出しました。たまたま後期の講義の時期と重なって、締め切りを延ばしていただいて、何とか間に合わせたところです。参加される方たちから事前のアンケートをいただいたのが役立ちました。

OJTマニュアルという名称もまだ確立していないかもしれないマニュアルですが、参加される方の中に、徐々に本格的な導入をお考えの方がいることを感じています。やっと意識されてきたのかという気がしました。うまく作れれば、圧倒的な効果があります。

今回、要求レベルの高い方々がいらっしゃりそうですので、一旦は、それらの方々ように合わせたテキストの叩き台を作ってみました。簡単には行きません。いきなりこれを読んでも、初めて作成する方にはわからないだろうと思いました。難しいものです。

      

2 憲法・民法・刑法の構成

全体をどういう風に構成するのか、意外に難しいものです。法律の場合、憲法と民法と刑法では、構成の仕方がずいぶん違います。法的な視点とは別に、テキストを作るときなど、構成を考える場合に、法律の構成を知っておくと、役に立つように感じました。

憲法の場合、前文と本文という分け方もありますが、内容を見れば、大きく人権と統治機構とに二分されていると理解してよいかと思います。テキストを作る観点から見ると、人権が目的であり、統治機構が手段です。そう気づいてから、構成の参考にしています。

民法の場合、財産法を見ると、総則のあと物権と債権が並んでいて、物の権利と人の権利という二分法による構成です。刑法の場合、総論と各論に分かれています。うまく考えられたものです。これらの3つの法律の構成が参考にならないかと、思っています。

     

3 参考にすべき法律の構成

今回、OJTマニュアルという従来知られていないものを作る場合、総論と各論に分けて考えてみたいと思いました。まずは作成するための前提となる理解が必要です。基礎というより総論にあたります。この理解なしに作成すると、成果があまり期待できません。

レベルの高い要求をする人たちは、この総論部分の理解をきちんとしないと、途中で挫折するはずです。基本的な原理を理解しないと、何のためにOJT用のマニュアルを作る必要があるのかが、どう作ればよいのか、このへんがよくわからなくなる可能性があります。

刑法を見ると、総論があってこその各論だと思いながら、各論がきちんとしていなくては、総論の価値がなくなるなあと思いました。両者がうまく支え合って構成されているのを感じます。全体の目的を果たすために、どう構成するかが決まるということでしょう。

民法のように、物の権利と人の権利というシンプルでありながら、妥当で明確な区分というのは、そう簡単にいかないものだと思います。今回ほど法律の構成を意識したことはありませんでした。法律の構成は上手くできています。参考にしない手はないでしょう。