■類推・アナロジーの利用:マネジメントを考えるアプローチ
1 マネジメントの勉強
少し前から、マネジメントの勉強をする人が何人か出てきています。マネジメントの本を読みだしているわけではありません。責任のある地位についていて、そのなかで実際に何かを始め、その検証をしながら、マネジメント向き合っているのです。
何かを始めないと、どうやらまずいことになりそうだと考える状況にある方々ですから、ある種の危機感があります。そういうとき、本を読んで勉強するという発想にはなりません。とにかく何かを始めるしかないということになります。
こうして自分でどうしたらよいかを考えて、その効果がいかにないかを身に染みているのです。何でだろうということになります。まずは検証が必要です。成果を上げるために、修正が必要ですから、アイデアも必要になります。勉強するしかないでしょう。
2 演繹的な手法は現実的でない
どうやって勉強したらよいのか、苦労しています。マネジメントの本を読んでいては間に合わないという感じがあるのでしょう。それに、いま自分がやろうと思うこととは、ズレがあるように思うという言い方をしていました。役に立たないだろうということです。
何冊か手に取ったのでしょう。実感として、何か違うと感じたようです。たぶん、それは正しいだろうと思います。理論的な話を読んで、そこから何かを考えることは、かなり無理なことです。いわゆる演繹をしようとすることになります。
理論をもとに、自分の問題を考えてみても、そう簡単にはいきません。「これだ!」という考えに到達するのに、役立ちそうにないという判断は現実的なものです。確率的な感覚からすると、厳しいと感じるでしょう。どうすりゃいいの、ということになります。
3 類似のケースを見出す手法
自分の問題に対して、これは使えるというケースを見つけてみたらいかがでしょうか。実際にあったケースを探す方が、勉強になりますよということです。そんなお話をしただけですが、わかったという顔つきになります。アプローチが違うのです。
こちらは演繹の手法ではありません。理論をもとに、当てはめるというアプローチは、ある種の客観性のある、一見王道を行く方法に見えます。しかしマネジメントの理論というのは、様々な条件を前提としているはずです。その条件が明確なわけではありません。
類似のケース見つけて、それを活かそうというのは、類推の手法です。アナロジーと言われています。「こういうとき、こうして打開した」というケースを、自分の問題に当てはめて考えるということです。補助線を見つけるということかもしれません。
類似のケースを見つけることに集中していると、一見似ていないケースに、類似のケースを見出すことがしばしば起こります。類推の方法は、実際的です。具体的に成果の上がる考えが出て来るなら、それが正しいということになります。成果に直結しているのです。