■留学生の変容:ささやかな印象

     

1 減少した留学生

これは私が関わっている留学生のことにすぎませんから、一般化することはできない話ですが、興味深いことでもあるので、書いておきたいと思います。まだ確実ではありませんが、留学生の様子が変わっているのです。人数が少なくなって、まじめになっています。

外国人の観光客について、中国本土からの人が少なくなっているとの報道がなされているのはご存じでしょう。留学生の場合も、数で圧倒していた中国人が減ってきています。それが反映されて、留学生の数が減少している感じです。しかしそれだけではありません。

中国人だけではなくて、急に増えていたベトナム人も減っていますし、その他の東南アジアの国からの留学生も減っています。このように留学生が減っているのは、新型コロナの影響なのでしょう。しかし数が減っただけではなくて、何かが違ってきました。

      

2 多くなったまじめな学生

一番注目すべきことは、とにかくまじめな学生が多くなっていることです。昨年あたりから、講義の出席率が極端に良くなり、課題に取り組む姿勢も変わってきています。一番数の多い中国人学生が特に変わってきました。講師の皆さんも、驚いています。

留学生が減った要因は、新型コロナの影響だという説明だけで十分なのでしょうか。どうも違う気がするのです。国内で十分な教育が可能になったから、留学する必要がなくなったのとも違うでしょう。国内に余裕がなくなってきたのかなという気がします。

韓国でボイコット・ジャパンを言い出して、韓国からの留学生が減った時、学生の質が急に良くなったことがありました。あれに似ています。留学するのが大変になってきているときにわざわざ留学してくる学生には、何か特別なものがあるのかもしれません。

      

3 日本に関心を持つ人たちへの期待

もう一つ、アメリカ人やフランス人の若者も、日本に留学するようになってきている点にも注目しています。いまの留学生は、全体として日本に関心がある人たちが多いのでしょう。そうしたこともあって、出席率もよくなっているのかなという気がします。

いま学校に来ている中国人や香港人の留学生の中には、日本のアニメやゲームで日本に関心を持ち、早い学生は小学校のときから日本語の勉強を始めている学生がいます。独学でスタートしたり、中学から日本語のスクールに通ったという学生がいるのです。

アメリカ人の場合、ご両親が日本人からの留学生を受け入れていたために、日本に関心を持ったとのことでした。こうした例に見られるように、いま留学してきている学生たちの中には、あえて日本に来ているという人がかなりの割合でいるように感じるのです。

わずかな数の若者たちを見ているだけですので、はっきりしたことは言えません。おそらくSNSをはじめとしたWebでの情報発信や、日本製のキャラクターに影響を受けた世代が育ってきたのでしょう。そして私の印象では、彼らには期待できるということになります。