■マニュアルが薄くなってきた理由:操作性と業務の仕組み

    

1 考える指針と操作性

マニュアルが薄くなってきています。そもそも厚すぎたら読めませんから、薄くなっているのは良いことです。薄くて十分なら、その方がいいでしょう。なぜ薄くなったのか、理由は業務マニュアルの場合と操作マニュアルの場合では違います。

業務マニュアルの場合、考える指針を入れてあるからだと言ってよいでしょう。現場で判断しなくてはならないことが増えてきました。当事者が、その時の思いつきで行動されたら困ります。そのため「こういうとき、どう考えるべきか」の指針が必要です。

操作マニュアルの方は、単純な理由によります。操作性がよくなったので、説明すべきことが減ったということです。製品が成熟化すると、操作はシンプル化していきます。その結果、複雑な操作が必要なくなり、操作説明がわずかになっていくということです。

    

2 人間ならではの仕事

仕事の仕方が業務マニュアルに反映されます。ビジネス環境が変化して、さまざまな状況で仕事をすることになると、すべて指示通りにとは言えません。その時々で、担当者が適切に判断して行動しなくてはならなくなります。こうした傾向は続くでしょう。

単純な機械的な仕事は、かつてマニュアル・レイバー(manual laborer)と呼ばれたものです。もはやそれらは、機械的に行えるようになってきています。デジタル処理が導入されて、ユーザーが作業をすれば、注文確定になることなどめずらしくありません。

徐々に人がする仕事は、人間ならではのものになっていきます。これは仕事の高度化につながるものでしょう。操作性がよくなって、操作のわずらわしさが減少したように、仕事の仕組みも、わずらわしさを減らしていく方向に進んでいくしかありません。

     

3 操作性と業務の仕組み

操作性の改善と、業務の仕組みの洗練とは、じつは同じ現象だということです。両者をどう把握するかが問題になります。そして業務の仕組みも操作性も、マニュアル化することが「見える化」だということになるのです。マニュアルの重要性がここにあります。

見えるようになれば、改善・改革につながっていくでしょう。全体を変えるのなら改革だということです。そうではなくて「具体的にここを、こう変えよう」というのなら、改善だと言えます。いずれも叩き台となる現状のマニュアルを変えていくことです。

マニュアルという標準モデルをモデルチェンジしていくことが改定ということになります。業務の場合、つねにモデルチェンジが必要です。仕事をいかにやりやすく、快適なものにするか、それを常に考えていくことによって、成果が上がります。

操作の場合、一度できた操作をころころ変えるのは好ましくありません。しかし新たな製品・サービスを作るときに、モデルチェンジする必要があります。操作性の変更には、製品・サービスの変更という断絶があると言えるでしょう。この点が業務と違います。

     

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