■マネジメントの発想とは、具体的にどんなことかと問われて

     

1 「コンセプト」というマネジメントの要素

図解講座の担当者が、この講座のコンセプトとして「思考の整理」というフレーズを考えてくださいました。このほうが講座の内容が伝わるだろうということです。数日前の講座で図解なのに考え方が入っていて驚いたとコメントをいただいてうれしく思いました。

コンセプトというのは、様々な意味があるはずですが、ここでは中核となる価値、進むべき方向というニュアンスが入っています。これなどはマネジメント思考というべきものです。実際、プロデュースをする場合には、コンセプトは大切な要素になります。

堺屋太一は『夢を実現する力』で、プロデュースの方法として、目的・コンセプト・ストーリー・シンボルが大切だと書いていました。ストーリーというのは、どういう戦略をとるかということです。それを象徴するシンボルがあると効果が期待できます。

      

2 断片を簡潔にまとめること

何をすることが目的なのですかと問われて、簡単に答えられると思っている人が、意外に多くいるものです。しかし簡潔なフレーズで書いてほしいと言われると、しばしば苦労します。記述を求められると、詰めの甘さに気がつくことになるのです。

あるいは逆に、コンセプトを聞くと、わからないという人がいます。しかし、そういう人に、何が一番大切なのか、中核となる価値はどんなものですかと聞くと、少しずつ断片が出てくるものです。とはいえ断片のままでは、まだコンセプトになっていません。

断片を基に簡潔にまとめる必要があります。どちらに進んだらよいのかの方向が示され、それが中核の価値になるようにまとめるのです。正解がありませんから、詰めが甘くなります。一番ダメなのが、何をいまさらの話でしたと言って思考停止になることです。

     

3 成功要因のモデル化

各分野の人から成功事例を聞いてみると、様々な成功がある中に、重要な要因が見出されることがあります。その要因を取り出して、これが成功要因ですねというと、ああ、そうです、という反応になりがちです。当事者が意識していないケースがよくあります。

成功要因をモデル化して、こういう形でいままで仕事をしてきたのではないですかと確認し、その通りですということならば、ひとまずモデル化できたといってよいでしょう。自分たちのビジネスモデルの中核が、これによって意識できることになります。

もしこれが的確なモデル化であり、なおかつ十分にこれを理解できていたなら、応用が利くはずです。では新たなビジネスに、このモデルを適応させると、どうなるでしょうか。そう問いかけると、ほとんどの方が「ええ! 適応ですか? ううん…」となります。

マネジメントの本でも、ビジネスに関する本でも、そこから目的やコンセプト、ストーリーを自分で引き出せれば、応用できるはずです。マネジメントの発想というのが、どうも具体的にわからないという人がいました。以上、参考になれば幸いです。