■図解講座を終えて:図解は世につれ

    

1 当事者が作図をする時代

25日、図解講座の講義を行ってきました。大勢の方の参加に感謝しています。今回、会場参加の方が半数以上いらしたので、演習問題がどんな答えになったのか、その都度確認することができました。今回は全体の水準が高かったというのが率直な印象です。

図解は世につれ、というお話をしました。今世紀に入って、マイクロソフトのオフィスがビジネス用に使われだして、手軽に図の作成が可能になってきたことが最初の大きな変化といえます。多くの人達が自分で作図を始めたことは良いことに違いありません。

しかし出来上がった図の水準は低下しました。国家機関の公開資料にある図を見ても、明らかな劣化が見られます。同じ省庁の出した円グラフでも、1990年代に作成されたものの方が、きちんとした形式で作られていたという例がめずらしくないのです。

     

2 少数精鋭の図が効果的

リーマンショック後の2012年から2013年ころ、日本でも強い会社のいくつかで、図の形式が変わりはじめました。シンプルで実質を重視する形式に向かうようになったと言ってよいでしょう。こうしたトレンドがあったとはいえ、まだ一部での現象というべきでした。

パワーポイントでスライドを作成し、プレゼンテーションをするのがもはや当たり前のことでしょう。こうしたプレゼンでも、徐々にシンプル化の傾向が見えています。大量のスライドを次々に見せていく形式から、重要なスライドを長映しする傾向が出てきました。

図も同じように、たくさんの図を並べるよりも、示された図がすべて重要だと思われるように、文書には少数精鋭の図を載せた方が効果的です。一枚一枚の出来が勝負になります。大切なポイントに、ピタっと適合する図があれば、効果は間違いありません。

     

3 組織的な取り組みが必要

講座でお話したことは、特別むずかしい内容ではなくて、当たり前のことです。何かすごい図を作って、「どうだ!」というようなことではありません。そうではなくて、大切な内容を素直に伝えられる作図ができれば、それで十分だということになります。

必要十分な図が、適切なスタイルで作られていたならば、効果的です。いらない図はノイズにすぎません。適切でないスタイルで作られた図があれば、それが目立ってしまいます。図解の場合、個人個人がオリジナルなスタイルで主張しても、意味がありません。

共通認識、共通ルールに従って、作図をすればよいのです。内容のほうが問題であって、実質重視ということになります。内容がきちんとしたものならば、作図として表現する形式は、当たり前のスタイルのほうが良いということです。その方が真意が伝わります。

作図に関して、もはや組織的な取り組みが必要です。個々人が優れた図を作るということも大切ですが、組織全体として作図の水準を上げていくことが大切でしょう。今回受講された方が、組織の中で指導する役割を担っていただけるようにと、期待しています。

     

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