■マニュアル管理のルール化:電子化に関連する不可欠な仕組み

      

1 持ち出しが容易な電子データ

マニュアルが電子化されると、今までとは違った問題が出てきます。持ち出しが簡単になりますので、ルールなしにしておくと、ときどき転職者にマニュアルを持ち出されたということが起こるのです。会社側が管理をきちんとしておかないと、問題がおきます。

会社側が、マニュアルを管理しないでおくと、大切なものではないと認定されかねません。具体的なケースに関しては、法律家に委ねるべきですが、普段からルールがないと、危険です。今度のマニュアルの電子化に関する講義では、このあたりもお話します。

秘密情報に対する侵害が罰せられるということはご存知のはずです。改正不正競争防止法で営業秘密の侵害に対して刑事罰が導入されています。同時に、秘密の概念が問題になるのです。どういう扱いをしていたかで、刑事罰の適用が変わってきます。

      

2 秘密情報と管理のあり方

事例で考えたほうがわかりやすいかもしれません。ある店舗の休憩室に、無造作に顧客リストが置かれていたとしましょう。この顧客リストを入手したら、入手した側は大きな利益を得る可能性があります。この場合、顧客リストは秘密情報に当たるのでしょうか。

簡単に秘密情報だとは言い切れないようなのです。大きな利益を得る可能性のある情報であっても、そのことだけで秘密情報の要件を満たすとは言えません。鍵もかけずに、無造作に棚に置かれていたならば、秘密情報なのかどうか、微妙な問題になります。

会社のコピー機で顧客リストをコピーして、それを持ち出したとしても、ただちに「秘密情報」への侵害として罰せられそうにありません。きっちりした管理の仕組みがないと、情報そのものの価値とは別に、秘密情報という扱いがなされなくなるのです。

       

3 管理のルール化が不可欠

ルールを作り、違反は不正であると周知をしておかなくては、会社の信用にもかかわってきます。業務マニュアルの場合、確実に業務の成果が上がる仕組みになっていなくてはいけません。よくできたマニュアルなら、確実に成果が上がるのです。

業務マニュアルの価値がわかっていない組織では、扱いがおざなりになります。貴重なものならば、自然に取扱いまで含めたルール化がなされるはずです。そうしたルールがない組織の場合、法律も助けてくれないということになります。

このあたり心配ないだろうと思っていたのですが、きちんとしていたはずの組織で、いささか心配なケースがあったのです。ささやかな聞き取りをしていたにすぎませんが、マニュアル管理を意識しないと危ないと判断しました。ルール化が不可欠だということです。

       

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