■目標をどう決めるか:リーダーのために その6

1 マネジメントの3段階

マネジメントは、3つの段階からなる。そう考えると理解しやすい。第1は、トップが自分の思いを明確な形にして、それを承認してもらう段階。第2は、構想を立てて到達の姿を客観的な形にする段階。第3は、実現のための具体的な方法とステップを示す段階。

第1段階で、目的を決める。目的は使命とかミッションと呼ばれるものであり、トップの主観からなる。自分たちが社会に対して、こういうことをしたいのだという信念から使命が作られる。マネジメントの信念を決める段階である。これが一番の基礎になる。

第2段階で、戦略を立て、目標を決める。星野リゾートのビジョンは「リゾート運営の達人」であり、それを客観的に表す指標が、①顧客満足度、②売上高経常利益率、③エコロジカルポイント(環境基準の達成度)の3つであった。これら3つが目標になる。

第3段階で、目標達成のために、どんな手立てを採ったらよいのか、その手段を計画する。ここでは、戦略を決める際に考えた大きな道筋を、実践可能なだけの詳細なルールと手順にして示す必要がある。実践を管理し、検証していく目標管理の段階である。

 

2 3つの段階の連続性

これら3つの段階の中で、多くの場合に難航するのが、戦略を立てる段階であるらしい。そのために、ビジネスの戦略論がたくさん出されているのではないかとさえ思う。仕事のエンジンになる部分を取り出して、進むべき地点を明確化するのは、楽ではない。

前回、戦略を立てるために考えるべきことを3つの質問の形式でまとめておいた。A「顧客にどう思ってもらいたいか」、B「自分たちの思いを共有してもらうにはどうしたらよいか」、C「思いを実現するための道筋はどうなるか」。

これを見れば、戦略を中心にして、その前の第1段階と第3段階が連続的に変化していくことがわかる。「顧客にどう思ってもらいたいか」で目的を確認し、「思いを実現するための道筋はどうなるか」は、実践のための詳細なプロセスを決める前提になっている。

 

3 『5つの質問』との対比

マネジメントの3段階を意識すると、ドラッカーのマネジメントも理解しやすくなるはずである。『経営者に贈る5つの質問』の質問は、基礎に焦点を当てている。その点で、切り口が少し違っている。以下、5つの質問を確認しておきたい。

質問1「われわれのミッションは何か?」
質問2「われわれの顧客は誰か?」
質問3「顧客にとっての価値は何か?」
質問4「われわれにとっての成果は何か?」
質問5「われわれの計画は何か?」

自分たちのミッションを決めるとき、顧客の存在が前提となる。ミッションを明確にしたとき、顧客が決まる。その顧客へのアピールをどうするかというとき、質問3「顧客にとっての価値は何か?」が問われることになる。ここまでが自分たちと顧客の関係である。

A「顧客にどう思ってもらいたいか」とは顧客との関係をあらわしている。自分たちのミッションは、どうすれば顧客に届くのか。それが、われわれの成果につながる。そのときB「自分たちの思いを共有してもらうにはどうしたらよいか」が問われることになる。