■フレームの使い方:[誰に・何を・どのように]を例に

 

1 シンプルなフレームほど使い方が問題

何かをするためには、漠然とした考えをまとめていくプロセスが必要です。目標とする「あるべき姿」を明確にするために、「誰に・何を・どのように」と考えるのは役に立ちます。これは以前ご紹介した、とてもシンプルで基本的なフレームワークです。

つぎつぎビジネスを成功させているマーケティングの専門家は、自分の経験からこのフレームワークを案出したようです。しかし、この人の独創ではありません。その後お会いしたプロデューサーも同じフレームを使って考えていました。基本的な方法です。

マーケティングの専門家もプロデューサーもお二人とも、使い方が大切なのだという前提でお話ししてくださいました。このフレームが適用になるのは、マーケティングに限りません。文書を作成するときはもちろん、業務を考えるときにも使えます。

 

2 はじめになすべきことは系統ごとの列記

「Who/What/How:誰に・何を・どのように」というシンプルで強力な手法を、どう使っていったらよいでしょうか。業務のお話をするときに、あるべき姿を簡潔に書いてくださいというと、戸惑ってしまう人がいます。業務の話になるとかなり個人差が出ます。

ここでサウスウエストの事例を復習してみたいとおもいます。清水勝彦が『戦略の原点』で、サウスウエスト航空の戦略を「Who/What/How:誰に・何を・どのように」の形式でまとめています。これは「清水勝彦」流のまとめ方です。まずそれを見てみましょう。

Who (ターゲット顧客)
: レジャー顧客/ビジネス顧客
What(商品、サービス)
: 低価格のフライト/フレンドリーサービス/時間に正確
How (ビジネスモデル)
: 追加サービスなし/737だけ/空港の選択
/迅速な積み下ろし、発着/2都市間を結ぶ短距離限定
/フレンドリーな企業文化

様々な要素を列記したものです。全体の統一感よりも、系統ごとにポイントをあげていった感じでしょう。それでも3系統でまとめてみると、漠然としていたものが、かなりはっきりしてきます。このフレームワークで、はじめになすべきことは列記です。

 

3 列記から上位概念を見出す

「Who/What/How」のフレームを使うとき問題になるのは、3つの系統ごとに項目を列記した段階で終わりになりがちなことです。以前のブログに、マーケティングの専門家である[社長さんの場合、もうすこしシンプルな形式で考えるようでした]と書きました。

シンプルな形式とは、3つの系統で示される内容がもっと明確で簡潔なものと言えます。奥山清行の言う、<たくさんの要素がありながらも、それらを統合し、リファインして、洗練されたものになってくると、結果としてシンプルに見える、というもの>です。

清水のまとめには、Whatに「低価格のフライト」があり、Howの6項目からもコスト重視が見えてきます。ハース兄弟の『アイデアのちから』によると、サウスウエストのビジネスの中核は「最格安航空会社」であるとのこと。その次に「楽しく働く」が来ます。

「最格安航空会社」という統一概念があるからこそ、列記された各項目が生きてきます。このようにフレームを使うときには、まず列記を行い、その列記から統一概念を見出すことが必要です。ここまでやれば、よく詰めた考えだと評価されることになるはずです。

 

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