■エッセンシャル版のつくりかた:大切な本のエッセンスをまとめる

     

1 対象となるのは薄くて大切な本

先日、自分でエッセンシュル版を作る話を書きました。やってみたいけど、どうやったのかという話がありましたので、もう少し実際にどうやって作ったのか…について、ご紹介します。初めに作ってみたのは、ごく短い文章のエッセンスをまとめることでした。

ドラッカーの『マネジメント』のような厚い本を選んで、「よしやるぞ!」とエッセンシュル版を作ろうとするのは無謀です。途中で挫折することでしょう。まずは薄い本、あるいは自分にとって大切な本の一部分を対象にして、エッセンシャル版を作るべきです。

簡潔にきちんと書かれた論文などは、あまりエッセンシャル版には向いていません。講義を聞くように、わかりやすく書かれているけども、やや冗長な本などがエッセンシュル版を作るのに適しています。当然ながら自分にとって大切な本であることが大前提です。

      

2 印をつけながら読みこむ

自分にとって大切な本であるならば、一通り読んだ程度では不十分でしょう。大切な本をもう一度読んで、印をつけていきます。きれいに読みたいという人は、もう一冊購入するしかありません。極端に高価な本でなければ二冊買ったほうがよいのです。

縦書きの本の場合、上に余白がありますから、読みながら重要だと思うところに印をつけていきます。あとでおそらく修正することになりますから、印は鉛筆書きです。後から振り返って、必要な部分がわかればよいので、横線を引く程度で済みます。

読むスピードになるべく影響しないように、簡単な印の方がよいでしょう。読みながら
思いつくことがあったら、余白にメモしておきます。エッセンシュル版を作る場合、文章の全体を、何度か読みこむことになるでしょう。理解することが一番大切です。

    

3 『経営者に贈る5つの質問』のエッセンシャル版

読みながら少しずつ該当箇所をまとめていくことも一つの方法ですが、おそらく全体を読んでからの方がよくまとまります。自分のつけた印の箇所が適切かどうかを判断する際に、全体を読んでいる方が有利です。最後まで読んで、検証しながらまとめていきます。

一冊の本を何度も読むことは大切なことです。エッセンシュル版を作るときにも、何度も読むことが必要になります。きちんと読めたならば、ここが大切なところであり、これだけの記述があれば、十分に真意は伝わる…ということがわかってくるはずです。

どれだけの分量にするかは、本の性格や必要に応じて変わるでしょうが、半分というのが一つの目安だろうと思います。たとえばドラッカーの『経営者に贈る5つの質問』でドラッカーの書いたのは50頁弱でした。私の作ったエッセンシャル版は4割程度の長さです。

会話調でまとめられた文章ですから、簡潔にした方がかえってわかりやすいのです。印をつけていくと、思いのほか簡潔になります。A4用紙に1行40文字×50行の設定で4頁のエッセンシャル版となりました。わかりやすいですし、20分足らずで読めてしまいます。