■日本語が記述しない部分:日本語文法を構築するために

1 ブログに対する2つの連絡

少し前に【英語を母語とする人向けに作られた5文型:再論】を書きました。友人から再論の前に書いたものの意味が解らなかったとの連絡があったため、もう一度書いたものです。2つのご連絡をいただけたので、書いておいてよかったと思いました。

一つは、今度はわかったというひと安心する連絡です。もう一つは、大切な内容を含むものでした。日本の会社で働いている日本語に堪能な中国の方からのものです。日本語の文の要素に関することで、ああ、こう理解しているのかと思いました。

通説的な見解で書かれている益岡隆志・田窪行則『基礎日本語文法』では、文の要素は「述語・補足語・修飾語・主題」からなるとあります。これら4つの要素について、自分の意見を語ってくれた中で、やはりそうかと感じたことがありました。

      

2 英文法を使って日本語を分析

彼女は、修飾語とは体言修飾、補足語とは用言修飾と理解しているようです。そうした理解をするときの根拠は何であるか。「英語の文法が日本語文章の理解に大いに役立っています」ということでした。これはめずらしいことではありません。

たぶん日本語が堪能な外国人は、日本語について考えるときに、日本語文法それ自体ではなくて、それをある種のヒントにして、自分なりのルールを作っています。飛び抜けてできる留学生の教え子が同じように英語の文法を使って日本語を分析していました。

じつのところ日本人でも、欧米言語に堪能な人は同じように外国語から日本語にアプローチしていたようです。清水幾太郎も『論文の書き方』にその旨を記しています。日本語を分析する方法がまだ日本語では確立していないというしかありません。

      

3 記述されないところに大きな比重

現代の日本語の散文が安定してきたのは20世紀末のことですから、まだこれからだろうと思います。日本語文法が確立するためには、学校文法や現行の通説的な日本語文法とはちがった、別のアプローチが必要でしょう。現行の文法では、読み書きに役立ちません。

失語症の人たちを見ているうち、世にある日本語文法の考え方は、日本語を読み書きするときの機序と違うことが気になりました。記述された文から文法を構築しようとしすぎていると感じます。これでは日本語の場合、不完全なものにならざるをえないでしょう。

古文を読むとき、誰の発言かがわからなくては、単語の意味がわかり一文一文の意味がわかっても文意は取れません。日本語の場合、記述なしでもわかるはずとの前提に大きな比重が置かれています。記述されていないところに重要な秘密があるはずなのです。

       

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