■OJT・社内教育用マニュアルのすすめ その1

1 講座の目的と評価の高かった理由

いくつか実施している講座の中で、評価が一番高かったのはOJT・社内教育用マニュアル作成講座でした。理由を聞けば、何だ…でしょう。6時間の講座内でマニュアルが作れてしまうからです。受講するリーダーは何十人もいませんから、個人的指導ができます。

実際に組織内で指導する立場の人の場合、自分のやってみたいOJTや社内教育の研修が見えてくるのでしょう。講座内で、何を作りたいかを決めてもらい、解説を聞き、アイデアをメモしながら作成していきます。とはいえマニュアルの完成が目的ではありません。

この講座の目的は第一に、指導者が自分でも納得のいく研修をするために、どうしたらよいのかを知ることです。第二に、マニュアル作成を、自分がオーナーになって行うプロジェクトと位置づけて、プロジェクトのマネジメントを体得できるようにすることです。

 

2 プロジェクトのマネジメント

納得できる研修にするための方法と、プロジェクトを実現するためのマネジメントの手法というのは、かなりの程度重なっています。自分の思ったものを実現するという体験をすることによって、マネジメントに対する理解が明らかに変わってくるようです。

マニュアル作成をプロジェクトと位置づける発想は、実際に作成する人たちを見ているうちに、気がつきました。OJTや社内教育のプログラムの進行を管理する場合にも、目標管理の手法を理解しておくだけで、何をしたらよいのか、明確になってきます。

例えば、決められたプログラムをどうやって進めていけばよいのか…というのは切実な問題です。詳細に時間を決めてしまうことも可能でしょうが、実践中心の教育の場合、成果が上がりません。大枠を決めるだけにして、反応を見ながら対応すべきでしょう。

実践的な教育の場合、プログラムの進行だけでも、形式的にプログラムを作るのと違って、それなりに高度なスキルがいります。慣れも必要です。いずれにしろ最初に基本となるマネジメントの理解があったほうがよいと思いました。目標管理の手法が使えます。

 

3 「予定通りにいかない」という前提

OJTや教育の研修時間は、だいたい決まっています。その時間の中で何がどこまでできるのかを考えることが必要不可欠なことです。一番習得の必要性が高いものから、選択していき、選択した項目間の関連を考えながら、プログラムを作っていきます。

指導する人はたいてい、何が必要となるかはわかっています。しかし時間内に一番大きな成果を上げるためにどうするか…という発想がやや弱い傾向にあります。必ず、予期せぬことが出てきます。しばしば臨機応変に対応するしかないことが出てくるのです。

最初から予期せぬ出来事を計算に入れておくことになります。一方で、思いのほか順調に進んだ場合に、その先の発展のプログラム、応用の反復練習の演習を作っておくことも必要でしょう。予定通りにいかない…と、最初から考えておくことが前提になります。

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