■目的達成の5つの方法 2/2:デカルト『方法序説』の4つの準則にないもの

 

1 「これがしたい」+ビジネス

若いビジネス人たちと話をしたとき、その思考方法があまりにデカルト的だったのに驚いたことがありました[前回 1/2]。IT関連の人たちの場合、デカルト的なデジタル思考がなじむのでしょうか。点数化してもらうと分かるという人たちでもあります。

彼らの思考が急に働かなくなる領域があります。何がしたいのかと聞かれて、自分の「こういうもの」が示せないのです。こうあってほしいという姿を示してほしいのですが、それを考えるのが苦手でした。それで以下の5つの方法の話をしました。

1 目的と重要要素に基づいて、全体像を構築する
2 目的達成のために何が求められるか、ネックとなるものを問う
3 目的達成といえる具体的なゴール(目標)を設定する
4 ゴール(目標)に到達するルートとプロセスを示す
5 実行し測定し(想定と)比較して対応を決めるフィードバックの方法を採用する

「これがしたい」というものがビジネスと結びつくとミッションになります。新しい方法や仕組みを作らなくてはいけないと主張され、そのためにミッションが必要だと聞かされているはずです。「どうしたい」というのはその人の気持ち、心の問題でもあります。

 

2 ミッション:明確で具体的なもの

こんな話をしました。昔ヒットした歌があって、「もしも私が家を建てたなら」というフレーズから始まっていて、とてもよくできた歌詞だった…と。小坂明子の「あなた」という曲です。この曲で歌手は夢を語ります。シンプルなのにイメージのわく歌詞でした。

①大きな窓と小さなドアのある小さな家、②部屋に古い暖炉がある、③真っ赤なバラと白いパンジーを置いて子犬を飼う、④その横にあなたがいてほしい…という歌詞です。これだけでどんな生活がしたいのか、到達すべき夢がどんなものか、わかるでしょう。

全体像を構築するというのは夢を語り、それをイメージのわくシンプルな形にするものです。これがミッションになります。今北純一は『ミッション』で具体的なミッションの例として、「所得倍増計画」「アポロ宇宙計画」をあげていました。

今北はミッションとは、[独自性と、そこから具体的な展望(ビジョン)が導き出されて来るもの]であり、つまり[非常にクリアで、かつ具体的なゆえに、達成するための行動指針が次々に導き出されてくるようなものでなければならない]と説明します。

これが「1 目的と重要要素に基づいて、全体像を構築する」になります。一番基礎にあるのは人の気持ちです。したがって[ミッション、ビジョンというのは民主的に、あるいはコンセンサスで決めるものではない。あくまでもリーダーが決定するものである]。

若者たちには夢を語る代わりに、先端にある技術の利用を考える傾向が強くありました。AIやIoT、ビックデータという用語は次々出てきます。しかし最初に語るべきなのは夢じゃないのか…と言うのに対して、具体的なイメージは簡単に出てきませんでした。

 

3 アナログ的方法による夢の創造

言うまでもなく、若者というのは単なる記号に過ぎません。われわれ全員の問題です。デカルトの方法は、「すべてを疑い、分割し、単純から複雑へと進め、列挙し検討する」ものですから、いわゆる「問題解決」にあたります。対処する側の思考です。

デジタルというのは人間よりも機械に向いた思考です。人間が人間的な思考で強みを発揮るするのは、必要な情報がない場合でもかなり正しい判断や創造ができることにあります。業務の仕組みにシステムが従うように、あくまでも機械は利用すべきものです。

技術を十分に利用するためには明確で具体的なイメージが必要でしょう。それがあれば、「2 目的達成のために何が求められるか、ネックとなるもの」が見えてきます。「3 目的達成といえる具体的なゴール(目標)を設定する」ことができるはずです。

先の歌詞なら、ネックは「あなたは今どこに」であり、目標は「いつまでに・どう探し・どうなればよいか」から考えることになります。そうすれば、具体的な行動の計画が立ち、効果的な方策を探しながら実行していくという流れになっていくはずです。

思いつきをメモに取り、イメージを自分で詰めながら、あるまとまりができるように「目的と重要要素に基づいて」考えることになります。アナログ的な方法で創造するしかありません。知らないうちに夢が欠落するのです。自分はどうかと問わずにいられません。

 

 

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