■コンテンツとビジネスとの関係:問われる業務のセンス
1 コンテンツがビジネスと関係ある?
講義を行うときに、コンテンツをどう作るかということが問題になります。講義をどう組み立てるかということですから、当然考えなくてはなりません。そのとき参考になるのが学者の書いた入門書や概説書です。名講義をする人たちは、しばしば学者達ですから。
ビジネス人向けの講義も、学者の書いた形式から学ぶことがたくさんあります。世界的な学者である小西甚一は日本を担う若い人の教育が大切だと考えて、手抜きをせずに受験参考書を書きました。ことに古典文法に絞った『国文法ちかみち』は記述のお手本です。
ところがそれとなく聞かれました。コンテンツを作るのが、ビジネスとどう関係あるのかという疑問です。大いに関係があると思います。OJTプログラムを作るときも、業務を考えるときも、基本的なところにそのまま直接的に関係しているはずなのです。
2 判断するための二条件
コンテンツを作るときの基本を確認しておきます。「誰に、何を、どう伝えるか」ということを考えなくてはなりません。ビジネスでは「誰に」「何を」…が決まっていることも多いはずです。原則は、対象者に特別な能力を要求しないということになります。
コンテンツであるためには第一に、道筋を示していることが必要です。示されたステップに従っていくと、無理なくゴールに到達できることが条件です。第二の条件は、ゴールに到達したときに成果があがる仕組みになっていることです。
コンテンツとは「この道筋を行けばゴールに到達できて成果があがる仕組み」です。この点の確認が出来ているなら、きっちりやれば成果があがることになります。このとき前提となるのは、成果がどういうものであるかをハッキリさせておくということです。
3 業務管理の基礎
リーダーや管理職の役割は、人の管理というよりも業務の管理になっています。こうした考えは、前述のコンテンツに対する考えかたと同じものです。業務が実行可能な合理的な道筋を示しているのかを管理し、その成果を管理するのが業務の管理になります。
人の管理は業務の副産物ともいえます。業務をしっかり遂行すれば成果があがる仕組みになっている場合なら、成果による人の管理が可能です。成果だけで人をチェックするわけにはいきません。仕組みを管理してこそ、各人の成果について判断できます。
業務の仕組みについて、無理がないか無駄がないかを判断するのは、簡単ではありません。業務の仕組みそのものを見てもわからないことがあります。そのとき、業務管理の一環として、各人の成果を見ることになります。主目的は業務を管理するためです。
地位によって見るべき業務の範囲が違います。いずれの場合も、業務の仕組みの良い悪いを判断するのが担当の管理者です。「業務」はビジネス・コンテンツのおおもとといえます。判断にはセンスが問われます。二条件を意識することが必要不可欠でしょう。