■読んでもらえる操作マニュアルの作り方の基本:操作マニュアル作成講座を終えて

 

1 厚くなっていく操作マニュアル

操作マニュアル作成講座を行ってきました。いわゆる勝ち組にあたる製造業の方が中心的な受講者でした。いくつかある中でも大きな問題になっているのが、多機能化した製品のマニュアルがどんどん厚くなってきているということでした。

ユーザーの立場に立つと、マニュアルを薄くしたほうがよいのでしょう。しかし、操作の仕方がわからなかったら困りますから、記述しておく必要があります。自然に任せていると、どうしてもマニュアルは厚くなっていくのです。

しかしユーザーは、膨大な量のマニュアルを前にすると、読む気をなくします。必要なことを説明しつつ、読んでもらえるマニュアルにするには、どんな工夫が必要なのでしょうか。こうしたところで、皆さんがご苦労されていました。

 

2 メリハリをつけた説明

マニュアル作成者は、メリハリをつけて説明することが求められます。メリハリをつけるということは、どんな内容が重要な事柄であるかを考えて、マニュアルを組み立てる必要があるということです。重要事項を簡潔に説明することが必要なのです。

もちろん、重要度順をつけてその順番に記述しても、わかりやすい操作マニュアルになりません。ある種の体系が必要になります。そのためにマニュアル作成者がしなくてはならないのは、使い方のモデルを考えることです。

その製品の標準的な使用法の、簡潔な体系を示すことが、マニュアル作成者の腕の見せ所になります。標準的な使用法を示すということは、これだけのことをしていただければ、こんなにすばらしい結果が出せます…というある種のアピールだともいえます。

 

3 一定レベルになってもらうことが大切

「画期的だった操作マニュアルについて」…を以前、書きました。小説家の海老沢泰久が作った「これならわかるパソコンが動く」という操作マニュアルについての話です。このマニュアルは、標準的な使用法を想定して、それだけを書いたものでした。

厚さを押さえて、まず読んでもらえるマニュアルにすることが重要です。これがメーカー側の要望でもありました。読んでもらえなかったら、どんなによい内容が記述されていても、そのマニュアルは無駄な存在だということになります。

標準的な使用法がわかると、ユーザー側は一定レベルの使い方ができるようになります。そこまで出来るようになってもらえたら、あとは対処法が考えられるはずです。さまざまな使用法を想定して、そのケースを説明していく手段を考えていくことになります。

マニュアル内で説明するなら、標準的な使用法を示した後に、詳細な使い方の説明を並べていくこともひとつの方法でしょう。あるいはWeb上にフォーラムを作る場合も考えられます。一定レベルになってもらうまでが大変なのだ、ということでしょう。