■定着する業務マニュアル・効果の持続する業務マニュアル

 

1 業務マニュアルの効果

簡単な業務マニュアルがあるだけで、すぐに効果があがる業務というのがあります。業種にもよりますが、営業マニュアルは効果が上がりやすいものです。ただ、本当に効果をあげるには、成果を検証しながらの工夫が必要です。

大手自動車メーカーの販売会社で業務マニュアルを導入した事例が、樋口泰行『変人力』に書かれています。自動車販売の場合、販売する側の知識やサービスが問われますので、社員教育が大切になります。

その販売会社では、マニュアル整備のプロジェクトを立ち上げて、お客様の来店から成約にいたるまで、業務の詳細をまとめあげました。それをもとに接客をしはじめたところ、最初の3ヶ月で驚くほどの成果をあげたとのことでした。

 

2 業務マニュアルの効果がなくなる理由

問題は、3ヶ月すぎてから、売上が落ち始めたことでした。そのためマニュアルの不備を調査して、新たに改訂したものを使い始めました。その結果、再び3ヶ月間、成果をあげたとのことです。しかしその後、また成果が低下していくことになります。

どうやら3ヶ月が効果の期限なのかもしれません。もう一度マニュアルを作成しなおして成果をあげたのにも関わらず、その後、3ヶ月すると効果が落ちてしまいました。これだけ繰り返されると、何かあるのに気づきます。その会社は、アプローチを変えました。

このマニュアルを、なぜ遵守しなければならないのか、その基本姿勢を教育したのです。その後に、マニュアルを実施するようにしたところ、成果が持続できるようになりました。なぜ業務をこのように行うのか、その理由が明示されてこそ、やる気になります。

 

3 業務マニュアルに必要な「なぜ…?」

この自動車販売会社のように、マニュアルを遵守するための教育を行うことは、きわめて効果があります。同時に、本来、業務マニュアルの中に、こうした要素を入れておくべきなのです。この件、以前書いたことがあります(マニュアルにおける whyと how)。

「なぜこうした方が良いのか」を書いておくと、それならば、こうした方がより良い…ということが思いつきます。こうした手順でやってください、と記述するだけよりも、「こういう理由から、こうしています」と書かれていた方が、頭が働きます。

これは営業に限りません。例えば、ハンバーグを作るときに、肉をぎりぎりまで冷蔵庫に入れておくのはなぜか、それがわかると、温度管理に意識が行きます。肉の脂が冷えていると粘り気がでて、厚みのあるハンバーグができます。その方がおいしいのです。

whyがわかると、温度管理をどうすべきか、肉の温度と粘り気、厚みから考えることができるようになるはずです。手だけで、温度と粘り気が一定以上わかるようになるかもしれません。なぜ…が書かれていると、さらに一歩という発想が出てきやすくなります。

よいマニュアルは、改善を促すように記述されています。