■新しい業務マニュアルの概念:楽譜との類似から

 

1 オーケストラには楽譜が必要

新しい業務マニュアルのイメージを語ろうとするとき、オーケストラを例にあげると、わかりやすいかもしれません。ドラッカーは、マネジメントを語るときに、しばしばオーケストラを例に出しています(以下、『新しい現実』)。

情報型組織に必要な条件は何か。オーケストラにおいて、一人の指揮者のもとで100人の音楽家が演奏できるのは、全員が楽譜をもっているからである。病院では、あらゆる専門家が患者の治療という共通の任務についている。カルテが楽譜の役を果たし、レントゲン技師、栄養士、理学療法士、その他全員にとるべき行動を教える。換言するならば、情報型組織には、具体的な行動に翻訳できる明確で単純な共通の目標が必要である。

業務において「明確で単純な共通の目標」をバトンタッチできるようにしておく必要があります。組織を回っていくのが、情報です。現在の組織は「情報型組織」がほとんどでしょう。情報は、文書という形式をとるのが一般的です。問題なのは、その内容です。

 

2 業務の「明確で単純な共通の目標」

情報となる文書の内容は、業務の状況を記述するものになります。業務を記述するためには、「具体的な行動に翻訳できる明確で単純な共通の目標」が必要です。各業務のゴールまでの道筋と、品質とを提示しておく必要があります。

生データのままでは、情報になりませんし、何をやったという報告だけでは、不十分です。上手にバトンタッチするために、基準が必要です。業務手順と業務品質の基準がなくてはなりません。これが業務マニュアルで示され、業務の指針となります。

業務マニュアルがあるからこそ、何をやったのか、どのレベルで出来たのか…ということに、意味が出てきます。逆に言うと、業務マニュアルが「具体的な行動に翻訳できる明確で単純な共通の目標」になっていることが求められるのです。

 

3 共通の目標を達成するために創造力が必要

オーケストラでは、当然の前提があります。楽譜も指揮も理解できる上、意図に沿った演奏が出来るということです。音楽がわかって演奏できるからこそ、楽譜に意味があります。楽譜は共通でありながら、そこには創造性が求められています。

オーケストラでは、楽譜どおりに、指揮者にしたがって、周囲と協調することが求められます。業務も基本構造は同じでしょう。違うのは、業務をバトンタッチして、あとを託すことが必要な点でしょう。組織の内外で、次々に情報が回っていきます。

中心に目標が設定され、目標達成まで、行動→測定→比較…というサイクルが回っていきます。これがフィードバックの輪です[PDCAに対する違和感]。回されるものは、文書です。中心にある目標の設定指針が業務マニュアルだということになります。

オーケストラの演奏と同様、業務でも、共通の目標を達成するために、各自が創造力を発揮して付加価値をつけることが当然の前提です。その結果、一人では達成できない総合力が発揮されます。業務マニュアルは、各自の創造力を前提に作られる必要があります。

 

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