■企画案のつくりかた:すごい人たちの方法如是我聞

 

1 企画は切り口が大切

いまいくつかの講義や研修の企画を作っています。来年に向けたものです。すべてが実現するとは思いませんが、企画を作ること自体、楽しいことです。自分の考えをまとめるよい機会になっています。

たまたまお話しているときに、それを講座にするなら、どんなものになりますかと聞かれて、それがそのまま講座の企画になることがあります。どちらかと言うと、そういうケースが多いかもしれません。

いままで、この人はすごいなあと思っている方から、いろいろ教えていただいてきました。そういう方々は、企画力が飛びぬけていました。企画にしぼったご指導を受けたことはありませんが、そのかたがたとのおつき合いが、とても役に立っています。

企画を考えるときに、大切にしている原則があります。状況にどう対応するかの切り口を明確にすることです。たとえば文章講座を企画するなら、講義を一回聴いたところで、文章が上手になるはずない、という現実をもとに考えます。

いくつかのルールを守るだけで、圧倒的にうまい文章が書けるなら、苦労しません。魔法のような方法はありません。訓練には最低数ヶ月かかりますし、ほとんどの人が挫折します。しかし、やる気のある人なら、こういう方法があります…という話になります。

受講される方のニーズがありますので、手段が変わることはありえます。しかし、講義だけではダメなので、訓練方法を覚えてください、という切り口は変わりません。私の尊敬する方々は、いつもテーマの切り口が斬新です。

 

2 自分の価値基準を意識すること

お話をしている最中に、企画内容を思いつくこともありますが、そのほとんどは、それ以前から考えていたものが基礎になっています。自分が関心をもつ分野に関して、どうしたら効果があるのか、普段から意識していることが必要だろうと思います。

たぶん、お仕事全般でもそうでしょう。ノウハウというものは、知らないうちに、身についてしまうこともあるかもしれません。しかし、偶然に身につけたものであっても、それがよい方法なのだと、自分で認識する必要があります。

よいかどうかを自分流の基準で判断している人が、仕事のできる人なのかもしれません。何がよいことなのか、その価値基準がしっかりしていることはとても大切です。この価値基準も、空から降ってくるわけではありません。自分で考える必要があります。

例えば、ビジネス文でよいといわれる基準は何であるのか、簡単に言えません。あるとき、軍隊の文章の必要要件に「簡潔・的確」とあったのを見て、これだと思いました。あれこれ言っていたことをひと言でまとめると、これになると思いました。

こうした価値基準が見えてくると、よい方法とは、どういうものかがわかります。自分なりに行ってきたものの中から、価値のある方法はこれであるという点が浮かび上がってきます。それを意識することが、もっとよい方法に変える契機になります。

 

3 企画立案の2つの段階

企画を立てるときには、2つの段階があるのだろうと思います。はじめに、こんなことができますよという目的やビジョンを見出す段階があります。「あるべき姿」の提示段階です。これが魅力的だと思われたときに、どうしたらよいのか問われることになります。

次の段階で、どうしたらよいのかについて、具体策が問われます。こういう方法なら、こんなことができますよ…という具体的なプログラムの提示が必要になります。企画を立てるとき、現実の制約があって不可能なこともたくさんでてきます。

口頭でやり取りする場合でも、この二つがポイントになります。今こういうことが必要になっていて、そのためにこんな対応がなされていて、効果をあげています…といったお話をするのが「あるべき姿」の提示段階です。

相手から、どうしたらそれに対応ができるようになりますか…と聞かれたときに、その具体策をお話しするのが、プログラム・方法の提示段階になります。条件を聞きながら、それなら、これがよいでしょうという提案をすることになります。

お分かりの通り、価値基準を相手に合わせることはできません。自分がよいと思っていることが、魅力的だと評価されない限り、企画を立てる話にはなりません。だから企画のお話をいただくだけで、うれしくなるのです。

すごい人たちが、自分の価値基準に合わないとき、あっさり企画を放棄してしまうのも、そんなことがあるのだろうと思います。