■文書の作り方:材料集めと集約の方法 -『知的生産の技術』を参考に

1 材料を生かしきれていないという思い

文書の書き方もさることながら、書くための材料集めが出来ないのです、どうしたらよいでしょうか…というご質問が、今年はじめにありました。そのお話を別の講座のときに講座担当者にお話したところ、それを講座にしましょうということになりました。

ご質問くださった方は管理職の方です。自分自身の問題であるだけでなく、リーダーになってもらいたい人達に、自分の文書の作り方の経験が話せないので困っているということでした。特別な方法などない、とおっしゃっていました。

普通に仕事をしていれば、そのときどきで書くべき内容はたくさんあるはずです。仕事をする過程で、いくらでも材料がでてくる気もします。きちんと仕事をやり、管理職になったはずですから、文書も合格点を取ってきたのでしょう。

そういう人でも、これまでのさまざまな材料を、生かさずに捨ててしまっているのではないかという気持ちがあるようです。貴重な素材があったはずだというという思いと、それをどうやったら使えるのか、何か方法はないかという思いがあったようです。

その時々の問題をどう文書にするかというだけでなくて、いままでの経験をもう少し系統だった形にしたい、仕組みにしたいという要望です。材料集めから文書作成まで…、これは大問題です。今回は、材料を集約する方法について書いてみます。

2 梅棹忠夫『知的生産の技術』の主張

多くの方が、材料集めをどうするのかということを気になさいます。しかし、材料集めは、そんなに難しくありません。材料自体、仕事をしている過程で自然に集まってくることがあります。本を読んだり、さまざまなときに、思いつくことも多々あります。

大切なのは、材料集めの方法よりも、それをどう集約して利用できる秩序を作るかということの方です。材料となる資料、出来事、思いつきなど、いつ・どこで・どんな場合に見つかるかを考えるよりも、それを利用できる秩序を整えることが大切です。

まずは、材料を集約して保存する仕組みが必要です。梅棹忠夫の『知的生産の技術』では、カード方式が提唱されていました。なかなか難しくて、失敗例が多々ありました。梅棹は、『私の知的生産の技術』で、カード式挫折の3パターンを示しています。

(1) 情報をカードに記入しようとすること。
(2) 情報をむやみに収集すること。
(3) 分類の仕方を失敗すること。

梅棹の主張は明確です。(1)に対して、カードには発想を書くべきで、情報は不要であると言います。(2)に関して、目的なしに情報を集めても無意味であるといい、(3)について、分類すること自体に意味がないという主張です。

私の考えは、以下です。(1)自分の考えと素材とは別扱いが必要です。(2)テーマがある程度決まっていないと、種々雑多になるので、何らかの対策が必要です。(3)PCの利用を前提に工夫するならば、梅棹の言う分類は不要になります。

3 自分の思いつきから連想を働かせる

PC利用により、文書作成が大きく変わりました。材料を集約しておくのに、ペーパーレスが原則になっています。内容を検索できますから、下手な分類は不要です。梅棹忠夫は、情報蓄積用と発想定着用に分けて、後者にカードを利用すべきだと主張しました。

情報蓄積には、本やデータベースの利用を考えているようですが、いまや、個人が自分用のデータベースを作れます。関連した材料をすべていれるファイルを作っておけばそれですみます。多少の工夫は必要ですが、難しいことはありません。

ファイル名の最初に日付をつけて、時系列で並ぶようにすると便利です。キーワードを入れ込んだファイル名にしておくことも必要です。あとは、同列に並べていけば、勝手に材料が集まっていきます。材料でも自分の思いつきでも、すべて入れておきます。

さらに、もうひとつのフォルダが必要です。これは、材料を系統だった形にしたい、仕組みにしたいという欲求に応えるものです。自分の思いつきと使う材料を組み合わせたものを、長短にかかわらず、同列に並べます。こちらは定期的な選択・選別が必要です。

材料関連をすべて入れた【素材フォルダ】と、これはという自分の思いつきを含んだフォルダを別立てで作ります。後者の【選抜フォルダ】のファイル数は制限されます。人間は、300までしか、きちんと内容チェックができませんので、それ以下の数にします。

実際にやって見ると、一定レベルを超えたファイルはそんなにありません。よい思いつきがいかに少なくて貴重かを痛感します。それがチャンスです。意識が違ってきます。自分の興味の方向が、少数のファイルから見えてきます。目的が明確になってきます。

自分の選んだファイルを見るうちに、連想が働きます。連想から他の材料が使えることに気づくはずです。【素材フォルダ】を検索すれば、材料があるはずですから、それを使って、叩き台を作ります。その過程で、新しい材料が見つかるのではないでしょうか。

選抜フォルダは、定期的に内容をチェックして、品質管理をします。チェックするたびに連想が働いて、新たなものが生まれる可能性があります。不要だと判断して削除した場合でも、素材フォルダにファイルが残っていますから、消滅の心配はありません。

いい素材、いい思いつきがあれば、そのあとの文書作成につながってきます。その後の文書作成の話も含めて、10月23日に講座を行います(JTC「文書作成力養成講座」)。ご興味ある方ご参加お待ちしています。

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