■「は」と「が」をめぐって その8

▼「小さい言葉」がある場合

日本語を母語とする人にとって、「は」と「が」の違いなど、それほど気にならないでしょう。しかし、外国語として日本語を学んだ人が、「は」と「が」をきちんと使い分けていたら、やはり驚きます。高さんは、それが出来ます。

高さんがあげてくれた4つのルールの最後が第3ルールです。
【第3ルール】言葉の中に小さい言葉がある場合(二つの言葉に主従関係ある場合)言葉全体の主題の後に「は」が来る。

高さんの場合、主題という用語を独自の意味に使っています。「小さい言葉」という言い方は、英語の従属節からの発想ですね。

 

▼「象は鼻が長い」

第3ルールの事例として、2つあげられていました。なかなか興味深い事例です。
(1) 象は鼻が長い。
(2) 風がない時、外に出る。

(1)の場合、文全体の主題は「象」なので、その後ろに「は」が来る。(2)のときは、「風がない時」が、小さい言葉なので「風」の後に「が」が来る。こういう説明です。

まず(1)の主題は「象」でしょう。しかし、「象」は主体ではありません。何が「長い」なのでしょうか。「鼻」です。では、この「象」と「鼻」の関係はどうなるのでしょうか。

 

▼主体の一部強調の場合

「は」という助詞は、強調する機能をもちます。「象」を強調している点が大切です。標準的な文ならば、「象の鼻が長い」か、「象は鼻が長い動物です」になります。

それぞれの主体は、「象の鼻」、「象」です。日本語のバイエルで大切にしていることは、なるべくあいまいな言い方を排除する点です。「象は鼻が長い」という文は、ややあいまいで、「象の鼻は長い」のほうが、明確です。

主体である「象の鼻」の一部である「象」を強調している形が、「象は鼻が長い」です。主体を一部強調する場合、「は」→「の」の入れ替えが可能かどうかがポイントです。

「は」のつく語句が主体でなくて、「は」と「の」が入れ替え可能ならば、主体の一部強調の形だということです。こうした記述は、あいまいになるためお勧めできません。

 

▼TPOを記述する「前提」

(2)の場合、「小さい言葉」というのがしっくり来るケースです。日本語のバイエルでは、これを前提と呼んでいます。必要な情報ではありますが、文を成り立たせる必要最小限の要素ではありません。したがって、必須要素とはいえません。

高さんは、「昔むかしあるところに、おじいさんとおばあさんがいました」の「昔むかしあるところに」を主題だといっていました。これは主題ではありません。私の言うところの前提です。前提とは、TPOの要素が記述されている部分です。

この要素が、文全体の意味を決める前提になります。とき・場所・場合(条件)を記述する部分です。「昔むかしあるところに」というのは、「とき・場所」を記述しています。

「風がない時、外に出る」でも「風が吹いたら、外出しない」でも、主体は「私」でしょう。前提にあたる部分である「風がない時」「風が吹いたら」は、場合・条件をあらわします。「場合・条件」の部分に主述関係があるとき、主体には「が」が接続します。

以上のように、高さんの第3ルールは、2つに分けたほうがよさそうです。これで高さんのルールは終わりですが、まだ追加すべきルールがありそうです。(この項つづきます)

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