■複数の分野で成果を上げた人たち:切り替えをどうするのか

      

1 切り替えが不可欠

テキストを2種類、作成しているところです。人間は1つのことしか頭が働かないと言われることがありますが、そんな気がしてきます。いっぺんにアイデアを出そうとすると、最初は両方の思いつきが出てきますが、そのうち一方ばかりになってくるのです。

継続していくうちに、どんどん一つのテキストばかりに偏ってきます。もう一方が気になることもありますが、しかし私には、両方いっぺんに作るということは困難なことです。片方ずつ作っていくしかないと思います。このことは、いつも感じることです。

実際には、ある期間に複数のことを処理しなくてはならなくなります。さてどうするのがよいのか。たぶん切り替えるしかないのでしょう。何かをはさんで、その前後で区切りをつけて、前はこれ、あとはこっちと、一方だけに集中するのが効果的なようです。

       

2 別分野の本を読む効用

田中美知太郎が『私の読書法』によせた「ノートをとる場合と配合を求める時」を読んで、あらためて選択と集中の必要性を感じました。同時に、気持ちを切り替えるときに、自分の専門分野とは別の本を読むのが効果的なのかもしれないと思ったのです。

二つのテキストをつくるときに、切り替えが必要になります。そのとき、あるところまで作っていたテキストの区切りをつけて、そのあとすぐに別のテキストを創り出すのは、あまり効果的ではないのです。少なくとも私は、何度かそう感じてきました。

田中が興味ある分野の本を「ノートをと」って集中して読んでゆき、そのあと道草のように、別の関係ない分野の本を手にするのではないかと思ったのです。これは勝手に自分に引き寄せて考えたことでした。そうすると、自分の感覚がうまく説明できる気がします。

こうして間に入れた別の分野の本は、自分の関心領域にも、ある種の影響を与えることがあるということでした。別の分野の発想を知ることで、ヒントが与えられるということです。これは最初から狙って得られるものではないにしろ、恩恵も期待できるでしょう。

       

3 区切りのバランス

今回、専門外の適切な本をはさみこめば、ある時期に、複数分野のことを効率的に進めていけるかもしれないと思いました。いま2つのテキスト作成で追い詰められていて、こんなことが気になっています。頭の切り替えについての、実験の最中ということです。

本を読んだり、文章を書いたりするときに、読み書きとは別の分野のことをすることも、たぶん役に立つはずです。そのとき田中が専門領域以外に費やす時間が多くなりすぎないようにと書いていたのはさすがでした。おもしろければ、そうなりがちです。

どんなバランスで区切りを入れていくべきか、少し探ってみたいと思います。もしうまくいかないようなら、今日はこれ、明日はこっちと、日によって分けるしかありません。ただ、これを続けると、別領域の本を読むのが区切りでなくて終日になりかねないのです。

ふりかえってみて、ずいぶん無駄なことをしてきたと思います。そのために切り替えとか別の分野の刺激とかについて、成果を上げた人たちの方法が気になってくるのです。狭い領域でよりも、広い領域で成果を上げた人に惹かれるのも同じことかもしれません。

      

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