■レポートの構成について:主観と客観の乖離と合理的解決

    

1 レポート重視の傾向

就職活動をみていて気がつくことですが、最近はレポートをとても重視する会社が出てきています。ほとんどレポートの出来で決まったのではないかというケースもありました。どういう対策を立てるかと考えることになります。なかなか本気でやらないものです。

今年はすこし変化球を投げてみました。一つの講座だけですが、期末の評価をレポートで行うことにして、早めにそのことを知らせておいたのです。心配なら途中で持ってきてもいいからと伝えました。早く出したものには、コメントをつけて返します。

かなり丁寧にコメントをつけますから、それにそってもう一度書いてみると、かなりのレベルのものになります。自分でもそれを感じるでしょうし、評価が上がりますから、やる気のある学生の多くが事前にレポートを提出するのです。それを狙っています。

    

2 主観的内容・客観的内容・合理的内容

テーマが自由ですので、書き方を一般化するわけにはいきませんが、基本的な書き方のひとつに、主観的内容、客観的内容、合理的内容を並べる方法があります。最初に主観的な考えを記し、次に客観的なデータ・情報を並べ、これが合理的だと示すのです。

まず自分はこう思う、それはこんな理由であると書きます。ところが世の中を見てみると、こんな風になっているではないか…と乖離を示した上で、この乖離を機会ととらえるならば、これを埋めるにはこうしたらどうか、こういう点が効果的だと論じる形式です。

たいていの学生は、世の中一般がどうなっているという客観的なデータや情報を見つけてくるのが苦手です。本を読んでいませんし、Webの検索もあまり活用していません。この機会に、文献紹介やWebの検索の仕方を教えます。成功体験をしてもらうのが目的です。

紹介された本やWebを調べれば、何らかのヒントが得られます。それをまとめると何らかの気づきがレポートの内容に反映されることがあるのです。再び提出したものに、さらなるコメントをつけていくと、自分でもレベルアップしたのに気がつくようになります。

     

3 主観と客観の乖離がポイント

自分はこう思うと書き出して、それに関連したデータや情報を見つけてきて、それらをまとめてみると、こうしたらいいというアイデアが出てきます。自分の主観がテーゼであり、それと乖離のある客観的な事実がアンチテーゼという感じでしょうか。

はじめに出されるレポートは、主観中心に論じる傾向が強くあります。自分はこう思う、なぜならばという理由づけの過程で、客観的な事実に言及する程度では、バランスの良いレポートにはなりません。それだけでは広がりない、弱い内容になりがちです。

コメントをつけるときに、ある程度の誘導をすると、ときどき本人たちが発見をします。気がつかなかったけれども、こうだという何かを見出すことが大切です。上手くまとめられた経験があると、また何かを探ろうとします。いま、それを待っているところです。

    

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