■ネタ切れしない『超優良企業「さだお商事」』:東海林さだおの方法

 

1 ネタ切れしない人

東海林さだおは、自分の「創業記念」を1966(昭和41)年だと言います。この年から、<世間様から注文が舞い込み、商売でお金をいただけるようになった>とのこと。長期間、漫画も文章も売れ続けています。ネタ切れしない秘密はどこにあるのでしょうか。

<漫画家にとっても、アイデアは生命線ですから、アイデアをいかに引き出すかは、日々の重要な仕事です>とのこと。ネタ切れしない秘密は、<ぼくの漫画の源となる、自称「アイデア帳」>を作っているからだと思われます。

『超優良企業「さだお商事」』は、以前に読んだ本ですが、最近になってあらためて読み返しています。漫画でも文章でも、たくさんのアイデアが命であることがわかります。それを使うときの利用方法が参考になります。

 

2 「アイデア帳」

「アイデア帳」には、<長年のカンとも言うべきもので、「いけるかもしれない」と思ったものを描いておく>のです。<新聞、雑誌、テレビ、電車のなか、散歩やショッピングの途上、こうした日常の生活のなかで、つねにアイデアを拾う目を忘れないでいます>。

<こうした切り口があったということのみの記録で、新聞の切抜き代わりに絵でメモしておく>という形式のノートが、2002年の段階でおよそ600冊あるようです。<でも、使えるのはここ数年の三十冊ぐらい>、これが<本当に商売の生命線>と語っています。

ネタ絵の数は、<一冊が八十頁で一頁に五個のアイデアを書くとして四百個。三十冊で一万二千個>。これだけの量でも、いつもこのノートを使うため、<機械なんかに頼らなくても><どのへんにどの絵が入っているかは、ほとんど記憶している>そうです。

 

3 素材となるアイデアを耕す

アイデアは放っておくと消えてしまいますから、それを記録に残す必要があります。メモをし続けると、使えるものかどうかはだんだんわかってくるはずです。ただ、それをどう利用するか、なかなか有効な方法が見つからずにいました。

もともとアイデアは、多くが実を結びません。東海林も、<アイデア帳の絵の中で、むしろ拾われるものは少ないのです>と語っています。せっかくのアイデアも利用次第です。仕事の仕方が、アイデアの使い方、利用の仕方に反映されています。

漫画のアイデアは結局、一本通った論理です。論理から連想へ、そして連想がどんどん膨らんでいって別の話になる。しかし、回り道をしたが、一貫した論理があるからぱっと元に戻る。そこがアイデアであり、漫画のおもしろさではないかと考えています。

東海林の場合、最初に描きこんだアイデアにヒネリをつけたり、展開させたりしています。<アイデア帳は僕の自家栽培の畑のようなものです。ときどき肥料や水を撒き、耕しておくのです>。アイデア帳を見て生まれた連想を、さらに書き込んでいきます。

 

4 成長するノート

東海林のアイデア帳は、大きめなノートに余白をおおく取って描いていき、ときどき見返して、アイデアの断片が発展したら余白に書き込みをして行く…という形態をとります。アイデアの断片が連想を生み、それを書き込んでいく、いわば「成長するノート」です。

そのため紙に印刷してあることが必要です。<紙のほうがすぐ取り出せるし、いくつものネタを並べたりひっくり返したりと、同時にできますから、断然便利です>。検索に頼りがちですが、多少の工夫をした上で何度も振り返るなら、多くが記憶に残るでしょう。

逆に言えば、あのあたりにあったというくらいの記憶がなかったら、そのアイデアは使えないのかもしれません。アイデアを集めて発展させるというのは王道だろうと思います。東海林の場合、文章を書くときも同じようにしています。

<材料をメモ書きするような感じで><構成も考えずに思いつくままに>下書きし、<どういう順序で並べるかを考えてから、本書きします>という手順です。「超優良企業」を続けるには、アイデアが命なのだ…ということをつくづく感じます。

 

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